(写真はイメージです/PIXTA)

国内不動産市場の2023年第1四半期の不動産取引総額は約1兆600億円と、前年同期比で大きく減速しました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の渡邊 布味子氏が国内・海外の不動産取引の動向を概観し、国内不動産市場の停滞の要因について解説します。

以前よりも崩れにくい不動産投資市場と、海外および市場外のリスクの高まり

 

以前の不動産投資市場なら、(1)同じ物件が何度も転売されて一定の需要を満たすとともに、(2)転売が繰り返された物件の価格が高まりすぎたどこかのタイミングで資金繰りに窮した企業が損失覚悟で不動産を売却し、(3)そういった投げ売りの事例が増えて不動産の価格水準が下落し、(4)市況が停滞する、といった一定のサイクルが見られた。

 

しかし、現在の不動産投資市場は、以前に比べて格段に崩れにくくなっている。

 

理由の一つは、国内外のREIT、政府系投資機関、私募リートなど、長期保有目的で、一度不動産を取得すれば容易に転売しない投資家や事業者が増加していることだろう。

 

市場に供給される物件の数は以前より少なく、高値かつ品薄な状態が継続し、物件取得競争に拍車がかかっている。都心部の競争力のある物件であれば驚くような価格で落札されることが珍しくなく、仮に1度目の売却活動が不調であっても売り主は別の購入希望者を容易に見つけることができる状況にある。

 

一方で物件やエリアにより2極化しており、郊外部のオフィスなどの買い手がなかなか現れない物件もあるようだ。海外不動産投資市場や、金利、経済情勢の動向など、外部の金融環境から国内不動産投資市場の停滞を招く要因の懸念も高まっており、しばらくは多角的に情勢を注視する必要があると考える。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年6月13日に公開したレポートを転載したものです。

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