(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、インターネット上での誹謗中傷が社会問題となっていますが、なかには、誹謗中傷を受けても加害者を訴えられないケースがあります。そのひとつが、誹謗中傷を受けたVTuberのケースです。なぜ訴えられないのでしょうか? 本記事では、Authense法律事務所の弁護士が、誹謗中傷に対する法律上の定義をもとに、加害者を損害賠償請求できるケースについて解説します。

「刑法上」の誹謗中傷の定義

(※写真はイメージです/PIXTA)
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刑法上、誹謗中傷に該当し得る罪にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

「誹謗中傷」は法律概念ではない

まず、「誹謗中傷」は法律上の概念ではありません。つまり、「誹謗中傷をした者はOOの刑に処する」などと、刑法に書かれているわけではないということです。誹謗中傷が刑法上の罪に該当するかどうかは、その誹謗中傷の内容によって異なります。誹謗中傷が該当する可能性のある刑法上の主な罪は次のとおりです。

 

誹謗中傷が名誉棄損罪に該当するケース

名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に該当する罪です(230条)。つまり、公衆の面前やほかの人が見ることのできるX(旧Twitter)やYouTubeなどのコメント欄で、事実を摘示して相手の名誉を毀損する発言をした場合などには、これに該当する可能性があります。

 

相手の名誉を毀損する発言とは、たとえば「A氏は部下と上司と不倫をしたから昇格できたのだ」ということや、「A氏は会社の金を横領して贅沢三昧をしている」という内容が該当する可能性があります。

 

なお、ここでいう「事実」とは、「真実」ということではありません。 つまり、ほかの人が本当のことであると信じてしまいかねないような内容であれば、A氏が実際には不倫や横領をしていなかったとしても、上の発言は名誉毀損になり得るということです。

 

誹謗中傷が侮辱罪に該当するケース

侮辱罪とは、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合に該当する罪です(231条)。たとえば、公衆の面前やほかの人が見ることのできるX(旧Twitter)やYouTubeなどのコメント欄で「A氏は見苦しいから消えてほしい」、「A氏は存在が不愉快だから死んでほしい」などと相手を侮辱する発言をした場合などには、これに該当する可能性があります

 

なお、こちらは名誉毀損罪とは異なり、「事実の摘示」は要件とされていません。 そのため、例で挙げたような表現のみであったとしても、侮辱罪に該当する可能性があります。

 

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