「侮辱罪」とは?
侮辱罪(231条)とは、どのような場合に該当する罪なのでしょうか? はじめに、侮辱罪の基本について解説していきましょう。
侮辱罪の定義
侮辱罪とは、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者」が処される罪です。これを分解すると、次の2点を満たす場合に侮辱罪が成立します。
1.「公然と」であること
1つ目の要件は、「公然と」行われたものであることです。たとえば、公衆の面前で侮辱をした場合のほか、X(旧Twitter)やInstagramのリプライ、YouTubeのコメント、インターネット上の匿名掲示板などで侮辱をした場合などが、これに該当するといえるでしょう。一方、たとえばほかに人のいない会議室内での言動やX(旧Twitter)のダイレクトメールでの言動は「公然と」の要件を満たさないため、原則として侮辱罪は成立しません。
2.人を侮辱したこと
2つ目の要件は、「人を侮辱した」ことです。たとえば、「気持ち悪いから消えてほしい」や「目障りだから死ねばいいのに」などという言動などが、これに該当する可能性があります。
なお、侮辱罪が成立するかどうかは1つの言葉のみで判断されるわけではありません。用いた表現のほか、頻度や侮辱に至った経緯など、さまざまな要素を総合的に加味して判断されます。侮辱的な表現である以上、「OOという表現を使ったらアウトで、OOという表現ならセーフ」など、表現のみで一律の線引きがされるわけではないということです。
「侮辱罪」と「名誉棄損罪」との違い
侮辱罪と似た刑罰に、名誉毀損罪(230条)が存在します。名誉毀損罪とは、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」が処される罪です。こちらも「公然と」行われたことが要件とされていますので、他者のいない会議室内での発言やX(旧Twitter)のダイレクトメールなどでの発言は原則該当しません。侮辱罪と名誉毀損罪との違いは、「事実の摘示」が必要とされるかどうかという点です。
事実摘示による名誉毀損とは、たとえば「A氏は覚醒剤の常習犯だ」、「A氏は裏口入学だ」、「A氏は会社の上司と不倫三昧」などの表現で相手の社会的評価を下げる言動です。なお、ここでいう「事実」とは、「真実」という意味ではありません。そのため、A氏が実際には覚醒剤や裏口入学、不倫などをしていなかったとしても、これらの発言は名誉毀損となる可能性があります。
名誉毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
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