(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、インターネット上での誹謗中傷が社会問題となっていますが、なかには、誹謗中傷を受けても加害者を訴えられないケースがあります。そのひとつが、誹謗中傷を受けたVTuberのケースです。なぜ訴えられないのでしょうか? 本記事では、Authense法律事務所の弁護士が、誹謗中傷に対する法律上の定義をもとに、加害者を損害賠償請求できるケースについて解説します。

「民事上」の誹謗中傷の定義

(※写真はイメージです/PIXTA)
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民事上も、誹謗中傷は何かの要件となっているわけではありません。たとえば、民法などに、「誹謗中傷をしたら損害賠償請求ができる」などと書かれているわけではないということです。では、誹謗中傷に対して損害賠償請求できるかどうかの判断基準は、どのようになっているのでしょうか? 基本的な考え方は次のとおりです。

 

誹謗中傷で損害賠償請求ができるケース

誹謗中傷に対して損害賠償請求ができるケースには、主に次の2つが存在します。なお、「名誉感情」の侵害は民事に特有の考え方であり、刑事上の罪に問える場合よりも少し幅広くなっています。

 

1.「名誉権」が侵害された場合

「名誉権」とは、名誉を侵害されない権利です。これを侵害されたと判断される場合には、損害賠償請求が認められる可能性が高いでしょう。たとえば、「この人は覚醒剤をやっている」などという書き込みは、相手の社会的評価を下げるものであり、損害賠償請求の対象となる可能性があるでしょう。

 

2.「名誉感情」が侵害された場合

「名誉感情」とは、本人が自分自身に感じている価値や自尊心(プライド)のことです。 こちらは、その人の社会的評価が下がったかどうかということは関係がなく、被害者自身がどう感じたのかという点が問題となります。

 

たとえば、VTuberを誹謗中傷しても、いわゆる「中の人」が知られていないのであれば、「中の人」の社会的評価は低下しません。そのため、「名誉権」の侵害にはあたらない可能性が高いでしょうしかし、名誉感情が侵害された以上、たとえ社会的評価が低下しなかったとしても、損害賠償請求が認められる可能性があります。

 

損害賠償請求の可否は「公益性」との兼ね合いで判断される

相手の社会的評価が低下したからといって、すべての場合において損害賠償請求が認められるわけではありません。なぜなら、発言者の側にも「表現の自由」が認められているためです。 この「表現の自由」と相手の名誉権などとのバランスによって、損害賠償請求が認められるかどうかが判断されます。

 

具体的には、公共性、公益性、真実性という3つの要件を満たすような場合等においては、違法性がないと考えられ損害賠償請求が認められないということになります。なお、これについては刑事事件においても同様です。 詳しくは弁護士にご相談ください。

 

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