(※写真はイメージです/PIXTA)

2021年に自社が世界販売台数ナンバーワンのEVメーカーとなった「テスラ」。そのブランド戦略の独自性に注目が集まっています。なかでも「広告費ゼロ」は有名な話ですが、これには単なるコスト削減のためだけでは狙いがあると、株式会社YRKの髙橋昭之氏はいいます。一体どのような狙いでしょうか? みていきます。

テスラのブランドミッション

ここで詳しく語る必要がないくらい有名な、イーロン・マスク氏率いる世界販売台数ナンバーワン(2021年)のEVメーカー「テスラ」。ブランドミッションは、世界の持続可能なエネルギーへの移行を加速させることです。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム
[図表1]テスラのブランドミッション
出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム

 

EVの普及が本当に持続可能な社会の実現に資するか、は一旦置くとして、少なくともイーロン・マスク氏はそれを信じてテスラの企業活動を展開しています。テスラの「中の人たち」は、なんでEVを作っているの? と聞かれたら、これをミッションとしているから、と答えることでしょう。

 

ここで重要なのは、このミッションが、どんな世界(社会)を実現したいブランド(会社)なのかということの、具体的な答えになっていることだと思います。商品に圧倒的な機能差が出しにくい現代において、この視座でミッションを明確に提示しておくことは、消費者の判断に多くの影響を間違いなくおよぼすと思います。

 

さて、ミッションはわかったが、これに対してどこまで本気で取り組んでいるの? これが我々の知りたいところですよね。なにごともいうは易しです。

テスラの取り組み

「ディーラー」を挟まない!D2C(direct to consumer)

テスラにはいわゆる販売会社(ディーラー)がありません。ネットだろうがお店だろうが、消費者はテスラから直接商品を買います。それ故に、販売価格はテスラが決めたものが世界共通となっています。さらに、一時販売店をすべて閉鎖し、ネット販売のみに全面移行する、というようなニュースも世間を賑わせました。

 

これは、販売価格を抑えるためですよね。先のミッション遂行のために、クルマの販売方法をここまでビビッドに変貌させています。

 

広告宣伝費「ゼロ」

有名な話ですが、テスラは広告宣伝に一切お金を使っていません。確かにテスラのCMなんてみなさん見たことないですよね。これも販売価格を抑えるための戦略の1つでしょう。なんせ、「加速させる」のですから、生半可なことでは実現できません。

 

ちなみにテスラのツイッターアカウントのフォロワーは1,600万人を越えています(2022年6月)、イーロン・マスク氏においては1億人以上です。確かに広告宣伝費は必要なさそうです。

 

「テスラタイム」とは?

「中の人たち」が常々口にしているようなのですが、先のミッション遂行のために、“いつまでに” なにをやるか、ということ。この、“いつまでに”の期間が、異常に短いそうです。時々メディアで取り上げられるイーロン・マスク氏の発言では、いつまでに、がキチっと明言されている印象です。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム
[図表2]テスラタイム
出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム

 

自動運転用の半導体がテスラタイムで仕入れられないことから自社開発に踏み切った、というニュースも過去にありました。ごく一部の印象的な取り組みを取り上げましたが、ミッションに対する尋常ならざる想いがこのような形で現れているのだと思います。

 

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