「どうするインボイス制度」10月施行なのにまだ「登録率42.3%」の実態が示す問題点と近づく「制度崩壊の足音」

「どうするインボイス制度」10月施行なのにまだ「登録率42.3%」の実態が示す問題点と近づく「制度崩壊の足音」
(※画像はイメージです/PIXTA)

東京商工リサーチは2023年4月14日、インボイス登録の状況を公表しました。それによると個人事業主の登録率が急増したものの今なお43.2%にとどまっています。インボイス制度の施行が10月に迫るなか、登録が思うように進まない実態があります。その背景には、インボイス制度に内在する諸問題があるとみられます。インボイス制度の何が問題なのか、公表されている「経過措置」にも触れながら、改めて解説します。

「負担軽減策」とその問題点

これらの問題点の指摘を受け、与党・政府は2022年12月に発表された「2023年度税制改正大綱」において「負担軽減策」を設けることを明らかにしました。

 

その内容は、インボイス登録期限が2023年3月末日だったのを同年9月末まで延期するとともに、インボイス制度の施行に伴い以下の2つの移行措置を設けるものです。

 

【インボイス制度施行に伴う「移行措置」】

・免税事業者が課税事業者に転換した場合、納税額を売上税額の20%とする(3年間)

・年間売上高1億円以下の事業者は、1万円以下の取引についてインボイスなしで仕入税額控除できるようにする(6年間)

 

しかし、これらの移行措置には、それぞれ問題点が指摘されています。

 

◆納税額を売上税額の20%とする措置

まず、納税額を売上税額の20%とする措置については、簡易課税制度との関係が不明瞭であるとの指摘があります。

 

特に、簡易課税制度において納税額が売上税額の20%以下の「卸売業」(10%)と「小売業、農業・林業、漁業」(20%)にとっては、メリットがないどころか、かえって不利益が生じる可能性があります。

 

◆1万円以下の取引についてインボイスなしでの仕入税額控除を認める措置

次に、1万円以下の取引についてインボイスなしでの仕入税額控除を認める措置については、事業者同士の取引において効果がきわめて限定的であるとの指摘がされています。

 

また、1万円以下の取引とそれ以外の取引を分けて計算しなければならなくなり、かえって面倒になってしまいます。

 

インボイス登録期限の9月末まで半年を切ったにもかかわらず、個人事業主のインボイス登録が進まない背景には、上述した制度の欠陥とそれに対する不満があるのは間違いありません。

 

また、課税事業者にとっても、インボイス制度の導入によって事務負担やコストが増大するということが問題視されています。

 

インボイス制度が抱えるこれらの問題点が解消されないまま、予定通り10月に制度が施行されてしまうと、取り返しのつかない混乱と禍根を生じる可能性があります。

 

政府・国会には、これらの問題点を直視し、制度の延期、抜本的な見直しも視野に入れて血の通った対応していくことが求められています。

 

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