終電もないし、「よかったらもう一杯どうですか?」
東京都在住の会社員・高山裕樹さん(仮名・43歳)は、営業職として都内を飛び回る多忙な日々を送っていました。ある金曜日、久々に部下たちと一次会で飲み、その後は一人で帰宅するつもりだったといいます。
「もう帰ろうかと思ったときに、近くのビルの前で女性に声をかけられたんです。『よかったらもう一杯どうですか?』と笑顔で言われて…。酔っていたし、断る理由もなかった」
誘われるまま女性とエレベーターで雑居ビルの上階に上がり、照明の暗いスナック風の店に入店。女性と乾杯し、2杯ほど飲んだところで店員から「カードでお願いします」と促され、明細も提示されないまま決済を済ませました。
翌朝、スマートフォンに届いたカード利用通知を見て高山さんは言葉を失います。そこには「¥198,000」の文字。急いでカード会社に連絡し、オペレーターからはこう告げられました。
「お客様、こちらは“深夜帯の接待系飲食店”でのご利用で、電子署名とレシート確認がされており、返金は難しい可能性があります」
「お店の名前、聞いていませんか?」という問いに、高山さんは返す言葉がなかったといいます。
「正直、あまりに自然な流れだったので警戒心がなかった。“名刺ももらってないし、場所も覚えていない”なんて…自業自得でした」
国民生活センターにはキャッシュレス決済をめぐる消費生活相談が多数寄せられており、増加傾向にあります。中には“飲食サービスを伴うキャッチ行為”に関する相談も報告されており、キャッシュレス時代ならではのトラブルが社会問題になっています。
