「健康とは言えない状態」が老後9~12年…
高齢化が止まらぬ日本。年を取れば誰しも「介護が必要な状態」に遭遇する可能性は出てくる。そのときが来る前に、事前準備を考えておかなければならない。
厚生労働省『簡易生命表』(2021年)によると、2021年の日本人の平均寿命は女性が87.57歳、男性が81.47歳である。そして、「人生100年時代」と言われているように、寿命は今後、さらに伸びていくことが予想されている。
一方、最新の日本人の健康寿命は、2019年値で女性75.38歳、男性72.68歳だ。単純計算で考えても、老後9~12年ほどは「健康とはいえない状態」が続き、そうなると介護を必要とする人も出てくるだろう。2021年3月末時点で、要介護(要支援)認定者数は682万人に及び、少なくみても「高齢者の5人に1人程度」が介護を要する状態にあるのが現状だ。
年金は平均月14万円程度、貯蓄も少ないなか──
介護が必要となれば、それなりの費用がかかってくる。それに対応できる金額を保有している必要があるが……。日本の高齢者の懐事情は、実際にどのようなものなのだろうか。
まずは、多くの高齢者にとって欠かせない年金。厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者の平均受給額は14万円程度。日々の暮らしに使うだけで、すべて無くなってしまうほどの金額である。
さらに厚生年金を受け取っている65歳以上に的を絞ると、男性の平均受給額は17万0,391円、女性は10万9,205円だ。たとえば元・会社員と専業主婦という「夫婦」だった場合には、月23万円程度の年金が受け取れる計算となる。
加えて、貯蓄額はどうだろう。2021年の時点で、60代のうち「金融資産を保有していない」と答えた人は28.8%、70代では25.1%存在する(『家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年』金融広報中央委員会より)。この「金融資産」とは「運用や将来に備えて蓄えている部分」のことになる。
一方、「金融資産あり」と回答した高齢者もおり、その保有額は60代平均で2,645万円、中央値は1,180万円、70代で平均2,396万円、中央値で1,380万円。こう見ると、ライフスタイルによって大きく変わるが、余裕のあるセカンドライフが送れそうな金額ではある。
だが、実際には「金融資産あり」でも保有額300万円未満という人たちが60代で21.1%、70代では15.1%。資産を保有していると言っても、かなり厳しい現状に直面している人が多いのが実際のところだ。
気になる「老人ホーム」の費用は?
ふまえて、誰もが将来お世話になるかもしれない老人ホームの費用について見ていこう。老人ホームの入居費用については、「一時入居金」と「月額費用」というものがある。
一時入居金とは、終身利用する権利を取得するために払うもの。これについてはまったく無償のところもあれば、都内にあるような高級施設だと億を超えてくることもある。また、月額費用には「家賃」「管理費」「食費」といったものが含まれ、大体10万~30万円ほどかかってくる。といっても、こちらもかなりピンキリだ。所得が低い場合には、補助給付があるし、費用は数万円から数十万円程度に抑えられるケースもある。
しかし、費用と設備、そこでの生活水準は比例してくるものだ。個室でプライバシーが担保された快適な生活……そんな暮らしを望むのであれば、月20万円程度は考えておくべき、といわれている。夫婦そろっての入居を検討するのであれば、単純計算で倍の月40万円ほどが必要というわけだ。
一人当たり年金月14万円程度で、老人ホームに入るには月20万円…。突きつけられる現実に、「今まで一生懸命働いてきたのに、最期はこれか…」そんな痛恨の想いを抱える前に。今からでも少しずつ、できる限りのことをやっておくことで、いざというときに苦しい事態に陥るリスクを少しでも減らしていくことができるだろう。
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