職人の商いから学ぶ値付けのコツ
なので、売ろうとするのではなく、あくまで説明にとどめる。
そして、「これは得した」「ほしい」と、自然と思ってくださった方にだけ届けて、その対価をいただく。
ビジネスとして考えたら効率が悪いことこのうえないですが、そういう発想でやっていたのが職人の商いであり、私たちは最大限「テイク」を大きくしなきゃいけないと思う必要はないし、したくない「ギブ」をする必要もない。
ただ無理のない範囲で「ギブ」をやり続けていけばいいし、その結果としてずっとやってこられたのが、150年という結果なのです。
だから、お客様からどうやって対価をいただくのがよいか、自分たちの商品が高いのか安いのかで迷ったときには、相手から奪いすぎず、自分たちも犠牲にしなくてよいところで、値づけを考えればいいのだと思います。
それを考えたうえで、もし今の値段よりも上げることがふさわしい、材料費が高騰しているから上げざるをえないなどと思えば、既存のお客様には丁寧にきちんと説明をする。
それができていれば、万が一、目の前のお客様が離れたとしても、ちゃんとみなさんの価値をわかってくださるお客様が、ついてきてくれるようになると思います。
八木 隆裕
開化堂
六代目当主