創業150年の老舗の「手づくり茶筒」が売れ続ける理由とは? 答えは700年前の「兼好法師の格言」にあった

創業150年の老舗の「手づくり茶筒」が売れ続ける理由とは? 答えは700年前の「兼好法師の格言」にあった
(※写真はイメージです/PIXTA)

どんな業種でも「お金」や「時代」は経営に対して大きな影響を与えます。本記事では、京都で明治8年に創業してから現在まで約150年間、激しい時代の変化の中でも変わらず、手づくりの茶筒を製造し販売し続けている「開化堂」の六代目当主である八木隆裕氏が、著書『共感と商い』(祥伝社)から、企業が「お金」や「時代」に振り回されずに、長くゆっくりと繁栄するために大切なことについて解説します。

「物柄よきもの」を目指す

つくる上限を決め、「クオリティーを保つ、高めていく」と一口に言っても、その「クオリティー」とは、どこを目指せばよいか、なかなか難しいものがあります。

 

そんなとき、僕が大事にしているのが、「物柄(ものがら)」という意識です。

 

「古めかしきやうにて、いたくことごとしからず、費(つい)えもなくて、物柄のよきがよきなり」

 

この言葉は、兼好法師(けんこうほうし)が著した『徒然草(つれづれぐさ)』に登場するもので、「古くからの伝統が備わっていて、華美ではなく、そんなに高価なものでなくてもいいから、ちゃんと物柄のあるものを選びなさい」といった意味です。

 

ちょうど、人の個性を表すのに「人柄」という言葉がありますが、モノにとってのそれが「物柄」といえるでしょう。

 

『徒然草』が書かれたのは鎌倉時代の末期といわれますが、その頃から日本人は、華美でも高価でもないけれど、古風や伝統といった言葉で表されるような、そのモノの柄=「らしさ」が薫る品を愛してきたわけです。

 

この感覚は、昭和の時代であっても、たとえばソニーのウォークマンのように、「あの製品にはソニーらしさが詰まっている」と感じるようなところに溢(あふ)れていました。ウォークマンには紛れもなく、ソニーの「物柄」が宿っていたはずです。

 

ところが、昨今はこの「物柄」に通ずる意識が日本で乏しくなっているように思えます。

 

それは、人を判断する基準が、往々にして人柄よりも見た目や年収になってしまうように、モノのよしあしに対する基準が表面的なパッケージや金額、性能ばかりに偏ってしまっているからなのかもしれません。

 

何より、買うお客様の側だけでなく、つくる側がそういった表面的に見えるものばかりを目安にしてしまっていることも大きいでしょう。

 

気づけば、アップルさんなどの海外企業に、「物柄」を追求するお株を奪われてしまったようにも感じます。

 

ですから、いま一度、自分たちの「物柄」とは何なのか。

 

斬新さや、派手さということではなく、自分たちが生み出すべき「物柄よきもの」とはいったい何なのか。

 

これはつまり、今まで述べてきた、「当たり前を見つめ」、「価値を問い直し」、「策を弄する前に手間暇をかけ」、「丁寧にモノをつくっていく」といったことにも立ち返るわけですが、長く続く商いを目指すには、まずそういう「自分たちは物柄よきものをつくる」という意識からなのだと思います。

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