「本屋」が地域に必要とされるために
地域が再開発される際には大型ショッピングモールがつくられるケースが多いものです。
これまではそのたび大型書店が入っていましたが、今後はわかりません。大型ショッピングモールができても書店が入っていないというケースは珍しくなくなるはずです。
それくらい書店の重要性は薄れてきている……。少なくともビジネス的にはそう見られるようになっているということです。
東京でも書店が入っていない駅ビルが増えているといいます。最近は赤坂駅周辺に一般書店がなくなってしまうという衝撃的なニュースもありました。
こうした流れはもはや止めにくいものなのでしょう。今後、全国のまちの本屋が一斉に息を吹き返すような逆転満塁ホームランはまず期待できません。だとすれば、書店ごとに生き残っていく方法を考えていくしかないのです。
お客さまに愛されるということも含めて、地域の中で必要とされる本屋になっていくことです。
将来的な話として、盛岡市に書店は1店か2店しか残らないかもしれないと思っています。
今後、さわや書店が姿を消してしまうことがあったとしても、それは世の中から「本」が必要とされなくなったからではありません。「本屋」としてのさわや書店が地域に必要とされなくなったからであり、役目を終えたことを意味するのだと思います。
言い方だけの違いのようにも感じられるかもしれませんが、両者の違いはとても大きなものです。
どうにもならないことではなく、どうにかできます。
本が売れなくなってきているのは事実だとしても、それを言い訳にしていても何も始まりません。時代の流れには抗えないなどと言ってしまわず、必要とされる存在になるにはどうすればいいかを考えていくしかないのです。
これまで私はずっとそうしてやってきました。今後もそれは変わりません。
書店員である限り、“まちの本屋”の理想を追い続け、まちの本屋であることを守っていきたいと思っているのです。
栗澤 順一
さわや書店
外商部兼商品管理部部長
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