介護業界にはどのような特徴がある?
介護業界のM&Aについて知るために、まずは介護業界の概況について確認します。高齢化がどんどん進む国内では、高齢者人口が増え続けている反面、倒産する介護事業者が増加中です。
1-1.高齢化率の上昇
日本の高齢者は増え続けています。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年には、高齢者人口は3,500万人となる公算です。
どの年齢でも人口が増えているのであれば、高齢者が増えていても社会全体のバランスを取れるでしょう。しかし高齢者が増えている反面、出生率は低下しており少子化が同時進行しています。そのため全人口に対する高齢者の割合が高くなり、高齢化率が上昇中なのです。
1-2.倒産する介護事業者が増加
高齢になると介護が必要となり、介護事業者を利用する人もいるでしょう。今後ますます介護事業者の需要は高まっていくはずです。
しかし需要の高まりに反し、介護事業者の倒産件数は増えています。これまでは人材不足が倒産の要因でしたが、新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化の影響から、費用負担が増加し倒産に至るケースも増加中です。今後も倒産する介護事業者が増えていくと、必要な支援を受けられない人も出てくるでしょう。
介護業界における事業承継の悩みと解決法
後継者問題は多くの中小企業が抱えているものです。中でも介護事業者は、経営者が負う責任が重く業務も多忙となりやすいため、後継者候補が見つかりにくいといわれています。このような後継者問題解決に役立つと注目されているのがM&Aです。
後継者を見つけにくい
中小企業庁の調査によると、調査対象となった経営者のうち約半数の127万人は『後継者未定』です。後継者未定の経営者のうち、半数は黒字にもかかわらず廃業しなければいけない状況に直面しています。
中でも介護事業者は、後継者が見つかりにくい傾向があるでしょう。高齢者が居住している施設であれば、365日24時間体制で緊張感を持ち運営にあたらなければいけません。大切な家族を預かる仕事のため、責任も重大です。経営者の身近な人であるほど大変な様子を見ているため、事業承継を安易に選べないでしょう。
しかし地域住民への介護サービスの提供を考えると、後継者が見つからないからと簡単に廃業はできません。
M&Aが選択肢の一つとなる
後継者不在によって事業の継続が難しい状況なら、M&Aによって問題を解決できるかもしれません。M&Aによって他社へ売却すれば、廃業を免れます。必要な介護サービスを従来通り提供でき、従業員の雇用が守られるのもメリットです。また、買収を計画している企業は堅固な経営基盤を築いているケースが多いため、経営の安定も期待できます。
かつては事業を乗っ取るイメージの強いM&Aでしたが、中小企業で行われる取引の多くは友好的なものです。経営手段の一つとして活用する企業が増加しています。
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