決算書から取引先等の企業の経営状態を読みとれることは、企業経営者や投資家だけでなく、あらゆるビジネスパーソンにとって重要になってきています。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもち現在は行政書士として活躍する黒木正人氏が、著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、業種ごとの決算書の見方について「卸売業」「小売業」を例にとり解説します。
無店舗小売業における決算書の特徴
●無店舗小売業
無店舗小売業は、店舗を持たず、カタログや新聞・雑誌・テレビジョン・ラジオ・インターネット等で広告を行い、通信手段によって個人からの注文を受け商品を販売する事業所、家庭等を訪問し個人への物品販売又は販売契約をする事業所、自動販売機によって物品を販売する事業所及びその他の店舗を持たない小売事業所です。
その決算書の特徴は、貸借対照表では棚卸資産回転期間が長い、損益計算書では、粗利率が高い、販売手数料・広告宣伝費が大きいとの特徴があります。
インターネット販売をイメージするとその特徴がわかりやすいと思います。
棚卸資産回転期間が長いのは、ニッチな商品を特定のターゲットに販売することからどうしても在庫を抱えてしまうからです。
インターネット販売で多くの売上をあげたのに全然儲からないという話をよく聞きます。その無店舗小売業者は、某大手ネット店舗に出店していたのですが、販売手数料・広告宣伝費、その他関連費用をすべて計算してみたら、売上の35%を占めていたというケースもありました。
黒木 正人
黒木正人行政書士事務所
行政書士・宅地建物取引士・ファイナンススタイリスト
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黒木正人行政書士事務所
行政書士・宅地建物取引士・ファイナンススタイリスト
1959年2月16日生まれ 明治大学法学部法律学科卒業
1982年4月 ㈱十六銀行入行、事業支援部長、十六信用保証㈱常務取締役
2012年4月 飛騨信用組合入組、常務理事、専務理事、理事長
2021年6月 黒木正人行政書士事務所所長、TACT高井法博会計事務所会長補佐、すみれ地域信託㈱取締役、ミネルヴァ・サービサーシニアアドバイザー、中小企業庁岐阜県よろず支援拠点コーディネーター
・著作
『経営者保証ガイドラインの実務対応に強くなる」(ビジネス教育出版社、2014年)、『マンガ融資渉外キヅキ旅」(2022年)『新しい融資債権管理・回収の進め方」(2020年)『支店長が読む 融資をのばすマネジメント」(2017年)『営業店担当者のための債権回収の強化書」(2013年)『取引先再建のための資金繰り改善アドバイス」(2012年)(以上、近代セールス社)、『〔新訂第2版〕担保不動産の任意売却マニュアル」(2013年、新訂版2011年、 改訂版2008年、初版2006年)『担保不動産と管理・回収の実務」(2009年)『事業承継の相談事例」(2007年)『わかりやすい融資実務マニュアル」(2007年)(以上、商事法務)、『地域の企業再生の実務」(共著・2011年)『債権保全と回収の実務」(2010年)(以上、三協法規出版)ほか多数
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