その他に挙げられる卸売業の決算上の特徴
その他の卸売業の決算上の特徴として、総資産に占める売上債権残高の比率が高いことがあげられます。このことから売上債権の中身をどう見るかがポイントとなります。
したがって融資をする場合は、売上債権の明細をしっかりと把握して、不良債権がないかを確認しなければなりません。
卸売業は、ひとたび不良債権が発生すると赤字に転落する可能性が高い業種ともいえます。そのため、主要売上先の売上高と利益の推移を把握し、顧客ごとの採算と信用状況の管理を見ることが重要となります。
それとともに不良債権をカバーできる自己資本の厚みがあるかをチェックするのも重要となります。
小売業の決算書の見方
小売業は、主に個人や家庭で消費する商品を販売する業種で、日本標準産業分類では各種商品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、機械器具小売業、その他の小売業、無店舗小売業の6業種(中分類)に分類されます。
小売業の決算書を見る場合には、貸借対照表では現金、買掛金の残高に注目します([図表2])。
その特徴は、商品を仕入れて短期間で売却して利益を得るビジネスモデルのため、棚卸資産の数値が比較的小さくなります。
また一般的に、販売代金はキャッシュレスの比率が増えてきたとはいえ、現金で受け取る現金商売が主ですから、売掛金など売上債権残高も他の業種と比べて小さくなります。
キャッシュレスのクレジットカードや電子マネー残高は、売掛金に計上されます。キャッシュレス社会が急激に進展している現状を踏まえ、今後はこの売掛金に着目する必要も出てきます。
現金商売のため現金が多く、一方で仕入れは掛の場合が多く買掛金残高が多くなります。
また現金商売のため、売上債権回転期間〔月〕(売上債権÷月商)が短い点が特徴です。
損益計算書では、小売業は卸売業に比べ多品種・少量を扱い、粗利が高めのため、売上総利益は卸売業や全業種と比較し大きい傾向にあります。
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