「リーマンショック」「コロナ禍」…中小企業を10年サイクルで襲う「事業環境の激変」に耐え持続性を高めるための「成長マトリクス」とは【元融資担当者が解説】

「リーマンショック」「コロナ禍」…中小企業を10年サイクルで襲う「事業環境の激変」に耐え持続性を高めるための「成長マトリクス」とは【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業にとって、どのような逆境・アクシデントに見舞われても生き残っていくことは至上命題です。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもち現在は行政書士として活躍する黒木正人氏が、著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、企業の持続性を高めるための戦略を考えるうえで役に立つ「アンゾフの成長マトリクス」について解説します。

企業の持続性を高めるには、「アンゾフの成長戦略」を活用する

新型コロナウイルスの感染拡大により経営環境が大きく変わってしまったとの声を、中小企業からよく聞きます。

 

リーマンショック、コロナ禍とほぼ10年サイクルで大きな経済変動がありますが、今後の見通しも不透明ななかで、環境変化に不安を抱えている経営者も多いと思います。

 

このように経営を取り巻く環境が大きく変わるなかで、企業の持続性を高めるには、どのような成長戦略をとればよいのでしょうか。そのヒントとなる考え方、フレームワークの一つが「アンゾフの成長マトリクス」です。

 

出典:経済産業省「ミラサポplus中小企業向け補助金・総合支援サイト」
[図表1]アンゾフの成長マトリクス 出典:経済産業省「ミラサポplus中小企業向け補助金・総合支援サイト」

 

アンゾフは、成長戦略を「製品」と「市場」の2軸におき、それをさらに「既存」と「新規」に分けました。

 

1つ目のマトリックスは、既存製品×既存市場の「市場浸透戦略」です。これはいままでの市場に、既存の製品やサービスを投入して、売上高や市場シェアの拡大をめざす戦略です。市場浸透戦略では、製品の認知度を上げたり、購入意欲を高めたりすることが戦略の主な目的となります。

 

では具体的な戦略を見てみましょう。

 

戦略(1)は、「値上げ」です。まずは不採算の商品は、元々赤字だから減ってもかまいません。商品をなくす前に値上げして市場の反応を見ます。それでも売れなかったらその商品からは撤退します。

 

戦略(2)は、「重ね売り」です。今ある商品を同じお客様に別個買ってもらう戦略です。有名な方法としては、マクドナルドのハンバーガーを買った人に、ドリンクやポテトを勧める方法です。

 

たとえば、建築業者がリフォームを勧める、スーパー・コンビニがレジ周りに甘いものを置き、自然と手に取ってもらう戦略です。

 

長い商売経験があると、あることに気づきます。それはたくさん物を買うお客様は、もっと買うということです。さらにもっと買うお客様は、もっともっと買います。既存の顧客に既存の商品をもっともっと買ってもらうのは、市場浸透戦略のキホンのキです。

 

戦略(3)は、特売商品・目玉商品で集客し、利益の上がるものを重ね売りする方法です。たとえばドラックストアは、集客の目玉商品で安い野菜や豆腐を売っています。それで大きく集客し、重ね売りで利益率の高い薬を手にとってもらう戦略です。

 

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企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

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