「え?貸借対照表ってこんなに簡単だったの?」誰でも一発でその会社が「潰れそうか」を見抜ける5つのポイント【元融資担当者が解説】

「え?貸借対照表ってこんなに簡単だったの?」誰でも一発でその会社が「潰れそうか」を見抜ける5つのポイント【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

貸借対照表は、企業の経営状況を示すものであり、読みこなすことは企業経営者や投資家にとって必要不可欠です。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもち現在は行政書士として活躍する黒木正人氏が、著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、一目でその会社の経営状態がわかる「貸借対照表」の読み方について解説します。

貸借対照表を読み解くコツ

決算書を開くと、最初に「貸借対照表」が目に入ります。多くの人は貸借対照表を読むのが難しく、そこで挫折してしまいます。確かに貸借対照表の勘定科目を見た途端に目が眩みそうです。

 

貸借対照表を読むには、最初は細かい勘定科目に目を向けないで、大きなボックスで捉えるとすんなりと読むことができます。

貸借対照表の読み方1|「5つのボックス」で考える

貸借対照表は大きく「5つのボックス」に分かれます。[図表1]を見てください。

 

[図表1]貸借対照表は大きく「5つのボックス」で考える

 

貸借対照表は、左側に「流動資産」と「固定資産」のボックス、右側に「流動負債」、「固定負債」、「純資産」のボックスがあります。

 

左側の「流動資産」は、短い期間(基本的に1年以内)に現金化ができる資産のボックスです。

 

「固定資産」は、現金化をするのに1年を超える期間がかかる資産と会社が長期間保有する資産が入っているボックスです。

 

右側の「流動負債」は、1年以内に返済しなければならない負債が詰まったボックスです。

 

「固定負債」は、返済に1年を超えてもよい負債が詰まったボックスです。

 

「純資産」のボックスは、株主からの出資金や会社の今までの利益の蓄積である利益剰余金などで構成されています。

貸借対照表の読み方2|資金の調達と運用で考える

[図表2]貸借対照表を資金の調達と運用で考える

 

貸借対照表は、右側の「流動負債」、「固定負債」、「純資産」のボックスで資金を調達し、左側の「流動資産」と「固定資産」のボックスで資金を運用します。

 

◆資金の調達

資金調達の方法は、(1)借入れ(必ず返済しないといけない)、(2)出資(資本金、株主が払い込むもので返済しなくていい)、(3)利益による(利益準備金等、返済しなくてもよく、無限である)もの、の3つがあります。

 

資金を調達する代表的な方法として金融機関からの借入れがあります。1年以内に返済する借入れを「短期借入金」、1年を超えて返済するものを「長期借入金」といいます。

 

短期借入金は「流動負債」のボックスからの資金の調達、長期借入金は「固定負債」のボックスからの調達となります。また金融機関から私募債で借り入れた場合は、「固定負債」のボックスからの調達となります。

 

金融機関からの借入れは必ず返済しなければならない調達方法となります。

 

「純資産」のボックスからの調達は、大きく「資本金」と「利益剰余金」に分かれます。

 

「資本金」は、株主が会社に出資した資金です。配当金を出すことはありますが、基本的には返さなくてもいい資金です。

 

優良企業は、利益で資金を調達します。その過去の利益の蓄積が利益剰余金です。優良企業は、利益によって資金調達をするために、売上を上げ利益を稼ぎだしたり、経費をできるだけ抑えて利益を確保する努力を行います。

 

企業はなぜ利益を出すことに固執するのか、それはお金(資金)が増えれば増えるほど、潰れない会社になるからです。

 

《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら

次ページ「負債」・「純資産の部」の主要科目を読み解くコツ
企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録