【事例あり】粉飾決算は必ずバレる!「3種類の決算書」を作ろうが…巧妙な手口を使おうが…結局「決算書」から見破られるワケ【元融資担当者が解説】

【事例あり】粉飾決算は必ずバレる!「3種類の決算書」を作ろうが…巧妙な手口を使おうが…結局「決算書」から見破られるワケ【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業が金融機関から好条件で融資を引き出すため等の目的で「粉飾決算」をすることがあります。しかし、どのような巧妙な手口を使おうと、結局は「決算書」から見破られることになります。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもつ行政書士の黒木正人氏が著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、決算書を手掛かりに粉飾決算を見破る方法について解説します。

粉飾決算とは

企業や経営者はなぜ粉飾決算をするのでしょうか。

 

それは「金融機関からお金を借りやすくするため」「金融機関が決算書の内容が悪くなると途端に態度を変えるため」「仕入先との取引を続けるため」「税金を少なくしたいから」「公共工事を受注できるように経営事項審査の評点を上げるため」などさまざまな理由があります。

 

粉飾は大企業から中小企業まで、さまざまなケースで行われます。どの粉飾も蓋を開けてみてびっくりといったケースが多いほど、巧妙に仕掛けられます。

 

金融機関も最初から取引先を疑ってかかることはありませんから、いざ粉飾決算が発覚すると騙されたという思いを強くします。

 

会計事務所も以前は、節税という名目でお客さんを獲得するという税理士もいました。しかしそうしたことは現在、ほとんどなくなりました。

 

正しい会計をして、正しく税金を払って利益を上げ、内部留保を積み上げ、現預金を増やすことで筋肉質の貸借対照表を持つ会社にする会計指導を行っているところがほとんどです。

 

では、具体的にどんな粉飾が行われるのでしょうか。大手企業において行われるのが、「循環取引」という粉飾です。

 

これは例えば複数の会社で同じ商品の売買取引を、何度も繰り返していく取引で、これにより売上と利益の水増しを図ります。売上高を、実際よりも過大に見せる手法です。

 

売上原価の過少計上もよく行われます。商品の仕入れ及び製造にかかる経費を少なくする方法です。

 

また、架空在庫を水増しして期末在庫を過大に計上することで、利益を多く見せるという方法もよく使われます。

 

本記事では、基本的に金融機関から良い条件での融資を引き出すための粉飾、すなわち、利益を水増しすることにより、業績をよく見せる粉飾についてどうやって見抜くかを解説します。

粉飾決算を見破るポイント

粉飾決算を見破ることはなかなか困難ですが、いくつかのポイントがあります。

 

売上債権・棚卸資産の粉飾では、架空計上により水増しするケースと不良債権化しているものがそのままずっと計上されているケースがあります。

 

粉飾を見破るには、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間を算出し、時系列で並べ、同業他社の水準と比較することで異常値を見つけ出す方法で粉飾を発見します。

 

次ページケース別のチェックすべき具体的な項目
企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

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