え?「卸売業」と「小売業」はこんなに違うの!? 業種別「会社の経営状態」を決算書から見抜くポイント【元融資担当者が解説】

え?「卸売業」と「小売業」はこんなに違うの!? 業種別「会社の経営状態」を決算書から見抜くポイント【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

決算書から取引先等の企業の経営状態を読みとれることは、企業経営者や投資家だけでなく、あらゆるビジネスパーソンにとって重要になってきています。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもち現在は行政書士として活躍する黒木正人氏が、著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、業種ごとの決算書の見方について「卸売業」「小売業」を例にとり解説します。

各小売業における決算書の特徴

●婦人服・紳士服小売業

衣料品小売業の決算書の特徴は粗利率の高さ、棚卸資産回転期間の長さ、販売管理費の多さです。

 

衣料品はもともと粗利益が高い商品で、流行り廃りはあるものの食品のように賞味期限はなく、季節によって売れ筋があり、個性が重視される商品であるため、一般的には粗利が高くなります。

 

ですから売上総利益率が同業態と比較して低い会社は、経営的に問題があるといえます。

 

衣料品は季節性があり、当たれば売れる反面、売れ残りのリスクもはらみます。いきおい在庫が多くなり、棚卸資産回転期間が長くなります。

 

例えば売れ残った冬物が次の冬に売れるとは限らず、一度在庫が不良資産になるとバーゲンによって処理するか、廃棄するかとなりますが、廃棄の場合中小企業は特別損失で商品廃棄損、商品評価損といった費用計上をしますので、特別損失の中身を見ることもその会社がうまくいっているかを見るポイントです。

 

販売管理費の中でも、商品の個包装やおしゃれな紙バッグなどの消耗品費、キャッシュレス販売の手数料、POSシステム・什器備品のリース料が多いという特徴があります。

 

●機械器具小売業

機械器具小売業の決算書の特徴は、町の中古自動車整備販売業をイメージしてください。中古自動車販売は1台あたりの売上高は大きいものの、販売まで時間がかかるのでいきおい棚卸資産回転期間が長くなります。

 

また高額の自動車販売は、割賦販売やリースもあるのでその他流動資産が多くなります。その中身に不良資産が隠されていないかを見る必要が出てきます。

 

整備工場併設の自動車販売店は、安定した売上があげられ粗利益率が高いことが特徴です。定期的にお客様との接点がもたれることから、営業面で安定した売上に貢献します。

 

この業態は、在庫の中身を確認することが一番のポイントです。なぜなら在庫の単価が高いため、売れない不良在庫の増加が、財務諸表の悪化に直結するからです。

 

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企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

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