各小売業における決算書の特徴
●婦人服・紳士服小売業
衣料品小売業の決算書の特徴は粗利率の高さ、棚卸資産回転期間の長さ、販売管理費の多さです。
衣料品はもともと粗利益が高い商品で、流行り廃りはあるものの食品のように賞味期限はなく、季節によって売れ筋があり、個性が重視される商品であるため、一般的には粗利が高くなります。
ですから売上総利益率が同業態と比較して低い会社は、経営的に問題があるといえます。
衣料品は季節性があり、当たれば売れる反面、売れ残りのリスクもはらみます。いきおい在庫が多くなり、棚卸資産回転期間が長くなります。
例えば売れ残った冬物が次の冬に売れるとは限らず、一度在庫が不良資産になるとバーゲンによって処理するか、廃棄するかとなりますが、廃棄の場合中小企業は特別損失で商品廃棄損、商品評価損といった費用計上をしますので、特別損失の中身を見ることもその会社がうまくいっているかを見るポイントです。
販売管理費の中でも、商品の個包装やおしゃれな紙バッグなどの消耗品費、キャッシュレス販売の手数料、POSシステム・什器備品のリース料が多いという特徴があります。
●機械器具小売業
機械器具小売業の決算書の特徴は、町の中古自動車整備販売業をイメージしてください。中古自動車販売は1台あたりの売上高は大きいものの、販売まで時間がかかるのでいきおい棚卸資産回転期間が長くなります。
また高額の自動車販売は、割賦販売やリースもあるのでその他流動資産が多くなります。その中身に不良資産が隠されていないかを見る必要が出てきます。
整備工場併設の自動車販売店は、安定した売上があげられ粗利益率が高いことが特徴です。定期的にお客様との接点がもたれることから、営業面で安定した売上に貢献します。
この業態は、在庫の中身を確認することが一番のポイントです。なぜなら在庫の単価が高いため、売れない不良在庫の増加が、財務諸表の悪化に直結するからです。
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