Z世代が重視する「パーソナル・パーパス」
▶近年の求職者の傾向
■2万倍の情報洪水時代
近年、求職者側の傾向も大きく変容しています。具体的な求職者トレンドの話に踏み込む前に、まずは世代間の違いについて言及したいと思います。
10年前と比較して、私たちが受け取る情報量はどれくらい増加したかご存じでしょうか?5倍?10倍?いや、100倍でしょうか?
実は、なんと2万倍に増えているのです。
現在の20〜30代はミレニアル世代やZ世代と呼ばれていますが、彼らは生まれた瞬間からこの2万倍の情報のシャワーを浴び続けています。そのため情報に対する感度は、40代や50代のそれとはまったく異なるものとなっています。
■「アットホームな職場です」はもう古い
求職者がZ世代の場合を考えてみましょう。
例えば、Z世代の彼らが求人広告を見て、情報をそのまま信じて、応募をするようなことを繰り返すでしょうか。条件のよさや「アットホームな職場です」といった均質的なメッセージが果たして届くのか、疑問を抱かずにはいられません。日々多くの情報に触れている彼らは、見ず知らずの者からの情報に対しては、「無駄な情報を取り込みたくない」と関心を示さないか、「本当に正しいのか?」と疑ってかかる傾向にあるからです。
率直にいうと、Z世代の彼らがこうした情報から企業を信頼することはまずありません。Z世代は、飲食店選びにおいてもグルメサイトを見て予約を取るのではなく、周囲の友人・知人が勧めているかどうかを重視します。例えば、自分のつながりのある人のインスタグラムを見て、お店を選んでいくのです。
つまり、採用活動においても「よりリアルな声」「よりリアルな情報」が求められているといえます。
また、世代間の変化は、情報収集の傾向だけではありません。Z世代は「自分自身がなぜ必要とされているのか」という「パーソナル・パーパス」を重視するということがわかっています。パーソナル・パーパスは、「自分がこの会社で働く意義」や「やりがい」と言い換えることができます。
つまり、会社のパーパスと自身のパーパスの接合点や重なりを重視して、就職先を選定したいと考えているのです。端的にいうと、「安定しているから、この会社に入社しよう」「大企業だから安心だろう」といった基準で就職・転職活動は行わなくなります。若者たちは、自身の価値を発揮できるのか、あるいは介在価値があるのかをより意識しているのです。
そのため、新卒においても中途採用においても、条件だけを明示した採用活動だけで、優秀な人材を獲得することは難しいといえるのです。