記録的金利低下も…円高の動きが限定的となったワケ
3月8日にかけて行われたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言でインフレ対策の利上げ見通しが上方修正されたことから米2年債利回りは5%の大台に乗せましたがその後は一転して4%以下へ、一気に1%以上もの記録的な大幅低下となりました。
この間の米ドル/円と米2年債利回りの関係を前提にすると、これは127円という米ドルの年初来安値更新をもたらしてもおかしくない動きでした(図表2参照)。
ただ米ドルは、米2年債利回りに比べると低下幅が限られた米10年債利回り低下、それを受けた日米10年債利回り差米ドル優位縮小に結果的には反応した形となったことから、米ドル下落も131円台までにとどまりました(図表3、4参照)。
それにしても、米2年債利回りが4%を大きく下回るという動きは、現在誘導目標上限が4.75%である政策金利のFFレートが早期に4%以下に引き下げられる可能性を先取りしたとの解釈が基本になります。
なおインフレ対策から利上げ姿勢の維持が必要というFRBの考え方からすると、それは過剰な期待ということになるのではないでしょうか(図表5参照)。
今週は22日にFOMC、そして23日にBOE(イングランド銀行)の金融政策の発表が予定されています。ともに今のところ0.25%の利上げが予想されていますが、金融システム不安を巡る動きから、直前まで予断を許せない状況が続く可能性はあるでしょう。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円も米金利の動向をにらみながら、基本的には米ドルの上値が重く、続落リスクのくすぶる展開が続くのではないでしょうか。予想レンジは130~136円で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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