「3月21日~27日のFX投資戦略」のポイント
〈ポイント〉
・先週の米ドル/円は、金融システム不安の拡大を受けて金融政策への見方が大きく揺れたことに振り回され、日々相場の方向性がクルクル変わる「猫の目相場」の様相となった。
・今週は22日のFOMCが最大のイベント。米ドル/円も引き続き米金利の動向をにらみながら、荒っぽい展開のなかで基本的には米ドル続落リスクのくすぶる展開となりそう。予想レンジは130~136円で想定。
SVB破綻で“金融システム不安”に振り回された1週間
先週の米ドル/円は、SVB(シリコンバレー銀行)の経営破綻をきっかけに浮上した金融システム不安と、それを受けた金融政策への見方に振り回される展開となりました(図表1参照)。
まず週明けは、金融システム不安から、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが見送られるとの見方も浮上し、米金利が一段と低下しました。こうしたなか、米ドルも先週の安値を更新し、一気に132円台まで続落となりました。
その後、火曜日には注目の米2月CPI(消費者物価指数)が発表され、インフレ是正の足踏みを示す結果だったことに加え、金融システムへの懸念もひと息ついたことから、水曜日にかけて米ドルは135円まで買い戻されるところとなりました。
ただそこで、クレディ・スイスという欧州の銀行の経営不安が浮上したことをきっかけに、改めて利上げの見送り、さらに早期の利下げを織り込むなど金利低下が再燃しました。
水曜日は、PPI(生産者物価指数)や小売売上高などの米経済指標が予想より弱い結果だったことも金利低下を後押しするところとなりました。
こういったなかで、木曜日のECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合に注目が集まりました。ECBは前回の会合で次回は0.5%の利上げを行うと予告していましたが、金融システムへの懸念が拡大するなかで、果たして予告通りの利上げができるか注目されたわけです。
結果的にECBは予告通りの0.5%の利上げを行い、当初はこれを嫌気した形で株安、金利低下のリスクオフの反応となったことから、米ドルも金利低下に連れて132円割れへ続落しました。
しかしその後、クレディ・スイスへの支援策などが発表されると株高、金利上昇に転換。3月FOMCでも0.25%の利上げが行われるとの見方が広がる中で、米ドルも133円台まで反発する展開となりました。
ただ、金曜日には再びクレディ・スイスなどの株価が急落、金融システムへの懸念が続き、米金利も2年債利回りが改めて4%を下回る大幅な低下となるなかで、米ドルも131円台へ下落しての越週。このように、金融不安とそれを受けた金融政策の見方が大きく揺れるなかで、米ドル安と米ドル高がクルクルと変わる「猫の目相場」の様相が続くところとなりました。