「米ドル高・円安」相場はもう終わったのか
そうは言っても、先週末の米ドル急落は、2月からの米ドル高・円安局面における米ドルの安値と安値で引いたトレンドラインを大きく割り込む動きとなりました(図表3参照)。
このようなプライス・アクションから推察すると、2月からの米ドル高・円安は、先週の138円手前までのところで一段落した可能性が高いでしょう。
そもそも米ドル/円は、今年初めに130円を大きく割れるまで急落したことで、120日MA(移動平均線)を大きく下回りました。これは、経験的には米ドル安・円高トレンドが始まった可能性を示すものでした。そうであれば、そんなトレンドと逆行した最近までの米ドル高・円安はあくまで一時的な動きと考えられます。
経験的には、一時的な米ドル高・円安は、120日MA前後までがせいぜいでしょう。そんな120日MAは、足元で138円程度なので、今回138円の手前で米ドル高・円安が一巡し、その後の米ドル反落で上述のようにこの間の米ドル高・円安を支えたトレンドラインを割れてきたことからすると、一時的な米ドル高・円安はすでに終了した可能性も意識する必要はあるでしょう(図表4参照)。
2月からの米ドル高・円安は、短期的な米ドル「下がり過ぎ」の反動という面もあったでしょう。米ドル/円の90日MAかい離率は、1月に米ドルが130円を大きく割り込んだところでマイナス10%近くまで拡大し、短期的な「下がり過ぎ」懸念の強いことを示していました。
そんな90日MAかい離率は、一時138円近くまで米ドル高・円安に戻したところで、僅かながら90日MAを上回る動きとなりました(図表5参照)。要するに、90日MAとの関係で見ると、米ドルの短期的な「下がり過ぎ」は是正されたわけです。
そんな米ドルの「下がり過ぎ」修正の手掛かりになったのが米金利の上昇でした。その米金利上昇が一巡、米金利低下再燃となったことで改めて米ドル安・円高リスクが注目されるようになったということでしょう。
ただし、90日MAとの関係からすると、さらなる米ドル下落は、「下がり過ぎ」を拡大することになるので、すでに見てきたように米金利が一段と低下するといったことなどがなければ、自ずと限られるのではないでしょうか。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円の予想レンジは、米ドルの反発も下落もともに限られるといったイメージから、133~137円で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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