(写真はイメージです/PIXTA)

大阪のオフィス市場は、昨年、過去10年で2番目に大きい約5万坪の大量供給があった一方で、空室率の上昇は小幅に留まり、成約賃料は前年と同水準を維持しました。ニッセイ基礎研究所吉田資氏は、大阪のオフィス市況を概観した上で2027年までの賃料予測を行いました。みていきましょう。

3-2.新規供給見通し

前述の通り、「梅田地区」と「淀屋橋・本町地区」は、オフィス面積全体の約3割をそれぞれが占める。現在、両エリアでは大規模開発計画が進行中であり、オフィス市場における存在感がさらに高まる見通しである。以下では、「梅田地区」と「淀屋橋・本町地区」のオフィス開発計画を概観したい。

 

(1)「梅田地区」

「梅田地区」では、北区梅田3丁目の「大阪中央郵便局」跡地で、日本郵便、JR西日本、大阪ターミナルビル、JTBおよび日本郵政不動産が地上39階建ての複合ビル(延床面積約22.7万m2)を開発中で、2024年3月に開業予定である*10(図表19①)。このうち、オフィスは11階から27階の17フロアで、賃貸面積は約6.8万m2、基準階面積は西日本最大級の約4千m2となる予定である。

 

また、JR西日本は、JR大阪駅の混雑緩和等の観点から、新たな改札口を西側高架下に整備している。同時に、新改札口に隣接した地上23階建ての複合ビル「(仮)大阪駅新駅ビル」(延床面積約6万m2、オフィス賃貸面積約2.3万m2)を開発中で、2024年秋に開業予定である*11(図表19②)

 

さらに、JR大阪駅前では、三菱地所を代表企業とする開発事業者JV9社が、うめきた2期地区開発プロジェクト「グラングリーン大阪」(地区面積約9.1ha)を開発中である(図表19③)。北街区のホテル、商業施設および都市公園の一部が2024年夏に先行開業し、2027年頃までに全面開業する予定である。このうち、オフィスは、南街区で西棟(貸室面積約9.3万m2)と東棟(約2万m2)が2024年11月に竣工予定である*12

 

【図表19】
【図表19】

 

*10:日本郵便株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、大阪ターミナルビル株式会社、株式会社JTB、日本郵政不動産株式会社「JR大阪駅直結の大型複合施設「梅田3丁目計画(仮称)」上棟2024年竣工へ向け、オフィスフロアの概要が決定」(2022年11月15日)

*11:西日本旅客鉄道株式会社HP「大阪駅西高架エリア開発」

*12:「グラングリーン大阪」HP

 

(2)「淀屋橋・本町地区」

「淀屋橋・本町地区」では、2023年3月に地上19階建ての「本町ガーデンシティテラス」(延床面積約1.9万m2)が竣工予定である(図表20①)。翌2024年は、NTT都市開発が中央区淡路町4丁目で地上21階建ての複合ビル「アーバンネット御堂筋ビル」(延床面積約4.2万m2、賃貸オフィス面積約2.3万m2)を竣工予定である*13(図表20②)。また、ダイビルは中央区南久宝寺町4丁目の「御堂筋ダイビル」を地上21階建てのオフィスビル(延床面積約2.0万m2)に建て替える予定である*14(図表20③)

 

その後も、複数の大規模開発が計画されている。中央日本土地建物と京阪ホールディングスは、淀屋橋駅東地区の「日土地淀屋橋ビル」と「京阪御堂筋ビル」を共同で、地上31階の複合ビル(延床面積約7.3万m2)に建て替えを行い、2015年7月に竣工予定である*15(図表20④)

 

また、淀屋橋駅西地区では、大和ハウス工業、住友商事、関電不動産開発が、3社が所有する敷地・建物を共同化し、地上29階のオフィス主体の複合ビル(延床面積約13.2万m2)を開発中で、2025年12月に竣工予定である*16(図表20⑤)

 

【図表20】
【図表20】

 

*13:NTT都市開発株式会社「御堂筋淡路町敷地における新築工事着工および計画建物名称「アーバンネット御堂筋ビル」決定のお知らせ」(2021年7月26日)

*14:ダイビル株式会社「「御堂筋ダイビル建替計画」新築工事着工のお知らせ」(2022年2月18日)

*15:国土交通省「御堂筋の玄関口に新たなランドマークが誕生~(仮称)淀屋橋駅東地区都市再生事業を国土交通大臣が認定~」(2022年4月28日)

*16:淀屋橋駅西地区市街地再開発組合(大和ハウス工業株式会社、住友商事株式会社、関電不動産開発株式会社)「御堂筋・玄関口の新たなランドマークとなるオフィスビルが誕生「淀屋橋駅西地区第一種市街地再開発事業」着工」(2022年11月1日)

(3)大阪市の新規供給予定面積

2022年の新規供給量は、「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」等、複数の大規模ビルが竣工したことで、約5万坪の大量供給となった。2023年は一旦落ち着くものの、2024年は「梅田3丁目計画」や「(仮)大阪駅新駅ビル」、「グラングリーン大阪」等の大規模ビルが竣工し、新規供給量は約8万坪に拡大し、過去最大となる見込みである。翌2025年も淀屋橋駅周辺等で大規模ビルが竣工する予定であり、新規供給量は約3万坪に達する見通しである(図表21)

 

【図表21】
【図表21】

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月10日に公開したレポートを転載したものです。

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