「海が見えるところで暮らそう」夫婦が選んだ駅近マンション
「この家を売って、海の近くに引っ越そうと思うんだ」
父の義夫さん(仮名・73歳)からそう聞かされたとき、長女の美香さん(仮名・46歳)は驚きました。
義夫さんは妻の良子さん(仮名・72歳)と二人暮らし。夫婦の年金は月約26万円です。
二人が暮らしていたのは、現役時代に購入した都市部の戸建てでした。住宅ローンは完済していましたが、子どもたちが独立した後は2階の部屋をほとんど使わず、庭の管理や家の修繕も負担になっていました。
夫婦には以前から、「退職したら海の見える場所で暮らしてみたい」という希望がありました。何度も現地へ足を運び、最終的に決めたのは、海を望める地方都市の中古マンションでした。
駅まで徒歩約8分。スーパーやドラッグストア、内科、歯科も徒歩圏内にあります。海岸までは歩いて15分ほどです。
「海の目の前にも物件はあったんだけど、毎日暮らすなら病院とスーパーのほうが大事だからね」
義夫さんはそう話します。自宅を売却し、新居の購入費や引っ越し費用などを差し引いた後、住み替えに使える資金として約2,300万円を確保しました。
美香さんが特に気にしていたのは、車でした。
「お父さんが運転できなくなったら、どうするの?」
義夫さんは70代になってから、いずれ免許を返納することも考えていました。そのため、移住先選びでは「車がなくても生活できること」を条件にしています。
移住から半年ほどで、夫婦は車を1台手放しました。普段の買い物は歩いて済ませ、少し遠くへ出かけるときは電車やバスを使います。
「前はスーパーへ行くにも車だったでしょう。こっちのほうが、むしろ歩くようになったよ」
良子さんはそう笑います。
