(写真はイメージです/PIXTA)

世界経済の不透明感がいっそう増すなか、国内の投資信託はどのように動いているのでしょうか。ニッセイ基礎研究所、前山裕亮氏が、特に外国株式ファンド、外国債券ファンドに注目して分析します。

資金流入がさらに鈍化

2023年2月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、2月は主に国内債券を投資対象とするもの以外すべての資産クラスのファンドに資金流入があった(図表1)。ただ、ファンド全体でみると4,100億円の資金流入と1月の5,200億円から1,100億円も減少した。

 

【図表1】
【図表1】

 

2月にファンドへの資金流入が減少した最大の要因は、外国株式ファンドの販売が鈍化したことがあげられる。外国株式ファンドには、2月に1,900億円と資産クラス別で相変わらず最大の資金流入があったが、1月の3,200億円から1,300億円も減少した。2月は、外国株式自体は軟調であったが、為替市場で月初に1ドル130円程度だったのが月末には136円台になるなど急激に円安が進行した。円安によって多くの為替ヘッジをしていない外国株式ファンドの基準価額が上昇する中、アクティブ、インデックス問わず外国株式ファンドの購入を見送る、もしくは売却する投資家が多かったようだ。

外国株式ファンドはタイプにより明暗分かれる

外国株式ファンドをタイプ別にみると、アクティブ型(緑棒)が2月に資金流出に転じた(図表2)。純流出となったのは2020年6月以来のことである。2月でも売れていたアクティブ型の外国株式ファンド(図表3緑太字)はあったが、以前に人気だった米国株式のものやテーマ型のものを中心に資金流出があった。アクティブ型の米国株式ファンドは2カ月連続の純流出となり、今後も売却基調が続くのか注目される。

 

【図表2】
【図表2】

 

また、インデックス型の外国株式ファンド(黄棒)も2月にSMA専用以外のものに2,000億円の資金流入と1月の2,800億円から800億円減少した(図表2)。個別でみても2月に資金流入が大きかったインデックス型の外国株式ファンド4本(青太字)は流入額が1月から軒並み減少した(図表3)。この4本の中でS&P500種株価指数に連動する2本の減少が特に顕著であった。

 

【図表3】
【図表3】
 

それでもインデックス型の外国株式ファンドには2月でも2,000億円もの資金流入があり、販売は底堅かったといえよう。やはり積立投資によって安定して買付があることが背景にあるだろう。つみたてNISAは2022年末時点で725万口座に達し、買付額は2022年10-12月に3,700億円と1カ月あたり1,200億円を超えており、そのうち8、9割がインデックス型の買付となっている。2023年も、つみたてNISAを通じて毎月かなりの資金が外国株式ファンドへ流入していると推察される。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月8日に公開したレポートを転載したものです。

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