(写真はイメージです/PIXTA)

大阪のオフィス市場は、昨年、過去10年で2番目に大きい約5万坪の大量供給があった一方で、空室率の上昇は小幅に留まり、成約賃料は前年と同水準を維持しました。ニッセイ基礎研究所吉田資氏は、大阪のオフィス市況を概観した上で2027年までの賃料予測を行いました。みていきましょう。

3-3.賃料見通し

前述のオフィスビルの新規供給見通しや経済予測*17、オフィスワーカーの見通し等を前提に、2027年までの大阪のオフィス賃料を予測した(図表22)

 

【図表22】
【図表22】

 

大阪府の就業者数は2年ぶりに増加に転じた。一方、産業別に就業者数の増減をみると、「情報通信業」は大幅に増加しているものの、その他の産業では伸び悩んでいる。また、近畿地方の「企業の経営環境」は一進一退を繰り返しており、「雇用環境」はコロナ禍からの回復ペースが鈍い。「在宅勤務」を取り入れた働き方が定着し、ワークプレイスの見直しも進んでいる。以上を鑑みると、今後のオフィス需要(オフィス利用面積)は力強さを欠く見込みである。

 

一方、新規供給については梅田駅や淀屋橋駅を中心に複数の大規模開発計画が進行中である。2024年に過去最大の大量供給を控えるなか、今後、大阪の空室率は上昇基調で推移すると予想する。

 

このため、大阪のオフィス成約賃料は、需給バランスの緩和に伴い下落基調で推移する見通しである。2022年の賃料を100とした場合、2023年の賃料は「98」、2027年は「88」に下落すると予想する。ただし、2022年対比で▲12%下落するものの、2018年の賃料水準(83)を上回り、大幅な賃料下落には至らない見込みである。

 

*17:経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2022~2032年度)」(2022.10.12)、などを基に設定。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月10日に公開したレポートを転載したものです。

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