(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者には人が考える以上の個人差があります。しかし、「高齢者の抱える不安の多くは、それほど怖いものではありません」と6000人もの高齢者を診た医師が語ります。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

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「感情の老化」の進行をどう抑えるか

身体が衰えて自分でできないことが増えてくると、つまらない老後になってしまうという不安もあるでしょう。

 

ここで私が言いたいのは、たしかに高齢になるほどできないことは増えますが、できることも残ります。そのできることを大切に生きていれば、車いす生活になっても、最悪、寝たきりになっても楽しむことはできます。

 

本連載にも書きましたが、そんな例はいくらでもあります。

 

もうひとつ言っておきたいのは、この手の衰えというものは、身体や頭を使うとかなり遅らせることができることです。

 

逆に、コロナ禍などで自粛生活を送り、頭や身体を使っていないとどんどん衰えてしまいます。要介護になって人の世話になること、介護保険を使うことは決していけないこととは私は思いませんが、ご本人にとって不本意な老後になってしまうのであれば、歩ける限りは歩いたほうがいいし、仕事が続けられるなら続けたほうがいいということです。

 

ただ、若い頃には、身体を動かそう、頭を使おう、仕事をしようといったことが面倒とは感じなかったのが、年をとるにつれ、面倒くさいと感じるようになるのが通常です。これを私は「感情の老化」と呼んでいるのですが、これと闘わないとどんどん老化してしまいます。

 

また、前述の介護保険にしても、こちらは給料天引きの形でお金を払っていても、申請しないことにはことが進みません。どのように使うかもケアマネジャーという人が提示してくれますが、自分に合ったものを求めるなら勉強もしないといけません。

 

このように、老後は面倒くさいことが続きます。

 

しかし、そのような面倒を乗り越えることができれば、不安も解消されるし、かなりの部分で自分の思ったように動ける時期が長続きします。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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