中国・購買担当者景気指数(PMI)製造業部門が約10年ぶりの高水準
昨年末に中国政府がゼロコロナ政策を転換し、期待先行から買い上げられた香港株式市場は具体策のない失望感から2月は月間で10%を超える下落幅を記録した。しかし、1日朝に発表された中国の経済指標を受けて、再び期待感が高まった。
中国国家統計局が発表した国有企業を対象とする購買担当者景気指数(PMI)は製造業、非製造業ともにそろって大幅な改善がみられた。2月の製造業PMIは52.6と景況感の節目となる「50」を上回り2012年4月以来、約10年ぶりの高水準を記録した。
1月の春節明けのに工場の稼働が再開したことで生産や新規受注、消費者需要が回復したことが寄与した。また、新規感染者が落ち着いたことも景況感の支えになったとみられる。
「日本のバブル崩壊の二の舞を演じている」とみられていた未曾有の中国大不況に光明が差した形となった。
中国財新製造業PMIも回復。景況感の節目となる「50」を上回り高水準
中小企業を対象とする財新製造業PMIについても7ヵ月ぶりに「50」を上回り、昨年6月以来の高水準を回復した。建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは56.3と21年3月以来の水準まで回復した。
先月に発表された中国の物価統計でも需要の回復が示唆されており、足元の中国経済が景気回復への道筋を徐々に辿っていることを再確認する形となった。
今月5日には北京で全国人民代表大会が開幕し、今年の経済成長目標が示される。本年度における中国のGDP目標率は事前の予想は「5.0%」を上回る目標を示す見通しである。全人代を前に習近平国家主席は、1日のスピーチで国家目標達成のために支援を強化することを改めて主張した。
昨年の年間成長率は3.0%と目標で掲げた「5.5%」を大幅に下回った。中国経済を成長軌道に戻し、信頼を回復と金融リスクの増大を回避するためにも、目標達成に向けた取り組みに注目が集まるだろう。