中国都市部のZ世代「6人に1人が失業中」習近平氏に権力が集中しすぎた悲惨な末路。新体制は「経済素人の集まり」の声 (画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

中国年間成長率35年ぶりの最低水準

2023年3月3日 1ドル=136.70

 

5日に開幕する全国人民代表大会を前に、中国政府が2023年の経済成長率目標をどう設定するかについて注目が集まっている。同大会ではGDP成長率について「5 – 5.5%」前後に設定されるとの観測が根強い。一部では6%水準の可能性もあると報じられた。


22年の年間成長率は3.0%と1976年以来の最低水準を記録したほか、政府目標として掲げた「5.0%前後」を大幅に下回った。中国経済を成長軌道に戻し、信頼回復と金融システミックリスクを回避するためにも、成長軌道への回帰に向けた取り組みは重要と考えられている。


新指導部の経済チームは上海市党委書記を務めた李強氏が就く見通しで、李克強首相は2期10年の任期制限を踏襲し首相職を退く予定である。新たに発足する中国共産党新指導部には経済通と言われる人材が少なく、下馬評を覆し、経済テコ入れを実現する新指導部の実力が試される。

 

とはいえ、中国経済が抱える問題は根深い。不動産市況の低迷、雇用の創出、消費喚起などなどで、課題は山積みとなっている。失業率は5.5%と中国では高い水準を記録したことや、都市部での若者(16歳から24歳)の失業率が16.7%まで拡大するなど、足元の景気が回復するには時間を要するとみられる。


一方、昨年12月からゼロコロナ政策を劇的に転換したことで3月のPMIは製造業・非製造業がそろって大幅な改善がみられたことは中国経済の期待の表れでもある。3日に発表された財新のサービスPMIでも2月は55.0と購買力が回復し、雇用も堅調な伸びを記録した。市場の状況改善を受けて雇用は20年11月以来の拡大ペースだった。

 

 

中国の経済見通しは3月のPMIから示されるように国内消費が大幅に回復し、経済は脱コロナへとシフトしている。習近平氏への権力集中が強まる共産党はここ10年で最大の人事刷新を行う見通しであり、昨年から3期目の体制が発足した新指導部が脱コロナを掲げ、かじ取りに注目が集まるだろう。

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者 国際金融ストラテジスト <在香港>

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
    世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。

    ● 個人公式サイト
     「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)

    著者紹介

    連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」

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