注目されたパウエル議長議会証言はタカ派の発言内容
パウエルFRB議長は7、8両日の議会公聴会で、インフレ抑制に向けて今月のFOMC会合で利上げペースを再加速させるかどうかについては、今週10日の2月の雇用統計のほか、来週発表予定の消費者物価指数などの経済指標に左右されると述べた。
しかし、一部では雇用統計が力強い数字が示されただけでも米金融当局が利上げ幅を決定するうえで確固たる情報になり得るとみられ、警戒心が高まっている。事前の予想では、2月の非農業部門雇用者数は前月比22万5,000人と、予想外の大幅増となった1月と比較すれば数字とては半分程度まで低下する見込みだが、失業率については3.4%と1969年以来53年ぶりの低水準を維持する見込みである。
CME Fed Watchによれば、3月FOMC会合で50bps幅での利上げを予想する確率が80%まで上昇した。1週間前はわずか30%だったので、それと比較すると振れ幅が如何に大きいかがわかる。
ターミナルレートの市場見通しもまた、今年9月にピークを迎えるとみられる水準は5.7%近くに上昇し、金利上昇には限りがあるとのシナリオに乗っかっていた投資家にとっては、大幅な相場観の変更を余儀なくされる事態となっている。
香港ハンセン指数は3日続落
ハンセン指数 19,925.74 pt (▲0.63%)
中国本土株指数 6,649.63 pt (▲1.15%)
レッドチップ指数 4,003.23 pt (▲1.03%)
売買代金1,029億3百万HK$(前日1,174億8百万HK$
9日、中国国家統計局が発表した中国の物価統計では、消費者物価指数、生産者物価指数ともに事前予想を下回った。食品価格や資源価格の低下が要因とみられ、中国での生産活動が全面的に再開されているにもかかわらず、生産が拡大せず、インフレ圧力が増大していないことを示唆する内容となった。
2月のCPIは前年同月比1.0%上昇にとどまり、昨年2月以来の低い伸びだった。前月比ベースでは、0.5%低下と減少に転じた。先週から開催されている全国人民代表大会で公表されたCPIの目標上昇率は3.0%と設定されたが、目標からは大幅な乖離があるのが現実である。
CPIの鈍化について、前年は2月に春節(旧正月)があったこともあり、消費需要については単純比較が難しいとの理由もあろうが、足元の消費需要が芳しくないことは確かであろう。中国政府が定めた経済成長率年5%目標を達成できるかどうかは、決して楽観できる状態ではない。
今回の全人代で発足する第3次習近平政権が、どのように景気浮揚を図るのか、注目されるところである。なお、今回のインフレ圧力の急激な落ち着きを踏まえれば、人民銀行が慎重な姿勢に終止してきた抑制的な金融政策を転換し、追加の金融緩和に踏み切ることもあり得る。