「投資の鉄板テクニック」が通用しない…の異常事態
1日、金融市場では一段と引き締め観測が強まり、米国債券市場で10年米国債利回りが一時4.0%台を付けた。地区連銀総裁の二人が追加利上げについて言及したことで、より高い水準に政策金利が引き上げられることが意識され、早期利下げへの観測は後退した。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、根強い高インフレを受け、必ずしも予想以上に金利を引き上げる必要はないとしつつも政策金利を「5.0% – 5.25%」に引き上げ、来年2024年も金利は同水準を維持することを支持するとコメントした。ただ、同氏は今年のFOMCで投票権を有していない。
一方、投票権を有しているミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は今月のFOMC会合での利上げ幅を再び50ベーシスポイントにするかどうかについて「オープンマインド」とし、最終的なターミナルレートは想定していた以上に上振れる可能性を示唆した。
金融市場は、2月から急速により大幅な利上げを織り込み始めている。先月までは、今年7月のFOMCで政策金利が5.00-5.25%でピークになることを織り込んでいたが、現在では9月に5.25-5.50%に達することを織り込んでいる。
リセッションシナリオに拘泥し、先高観をもっていなかった債券市場では、2月の金利上昇で年初からの債券価格の上昇分をすべて失った(金利は上昇)。
株式市場も、S&P500は約6週間ぶりの安値をつけ、株安・債券安が同時進行で起きている。足元の米経済指標の堅調な動きは本来それほど悪い材料ではないが、金利上昇が続くなか、マーケットにとっては厳しい環境が続くだろう。
株式に加え、市場に左右されにくい債権を保有することでリスク分散をはかることは、投資における盤石の手法だが、現状はどちらも下落している。