(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、企業の“IT戦略の柱”としてDXを進める企業が増えています。DXが実現できれば、「生産性向上」や「新たな事業創出」など、企業にとってさまざまなメリットを享受できる一方、「実際にDX推進に成功している企業はそう多くない」と、株式会社GeNEE代表取締役社長の日向野卓也氏はいいます。今回は、DXが「失敗に終わってしまう根本原因」とその回避策についてみていきましょう。

DX推進のメリット

経済産業省の調査によると、企業全体のうち95%が「まだDXに取り組み始めたばかり」か「未着手」の状態だといいます。テレビ広告やWEBメディアなどで頻繁に目にする「DX」ですが、実現すると企業にどんなメリットがあるのでしょうか。DX推進のメリットは、大きく分けて以下の2つです。

※ 経済産業省「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」より

 

1.生産性向上

止まらぬ人口減少のなか、企業は人材確保に課題を抱えています。また、働き方改革によりむやみな残業ができなくなったこともあり、「生産性」に悩んでいる企業は少なくありません。DXで業務の無駄なプロセスを省いたり、プログラムの導入で人の手がいらなくなることによって、限られた人材や時間のなかでも生産性を向上することができます。

 

2.ビジネスチャンスの拡大

DXを活用することで、新たなビジネスチャンスが広がります。上記のような生産性の向上で余剰人材を新たなビジネスへ投資することが可能ですし、AIやビッグデータの活用でこれまで得られなかった視点で事業を見直し、それがビジネスチャンスの発見につながります。

DX推進に立ちはだかる「3つの壁」

しかし、いざDXを始めると、下記のような課題にぶつかることが少なくありません。

 

1.「レガシーシステム」の複雑性や老朽化

導入から長い時間が経過した古い仕組み=「レガシーシステム」は、DXの大きな課題です。既存のシステムを十数年と使っている場合、さまざまな改修が施されているため、全貌の把握が困難です。さらに、老朽化も進んでおり、既存システムの刷新を行おうとしても莫大なコストがかかることがほとんどです。

 

2.「ビジネス変革」への足場づくり

DXというのは通常、業務プロセスの見直しや新しいシステムの導入などによって「ビジネスの変革」を行うことを指します。「変革」をするのですから、社員がこれに対応するのは容易ではないでしょう。

 

DXを進めるうえでは、ビジネスプロセスの構築や従業員への周知・教育など、行うべきことがたくさんあります。この、「ビジネス変革」へ向かう足場をどのように作るのかが大きな課題となるでしょう。

 

3.適切な組織管理と評価制度の設計

DX推進を行う前に、「なぜ自分たちの企業がDXを推進したいのか」という「目的」をよくたしかめ、DXのプロセスや結果をどのように評価するのかという「評価軸」を決定する必要があります。また、どのような組織体制を構築したいのか決めておくことも重要です。

 

しかし、DXに取り組んだことのない企業にとっては、DXに適した人材の確保から始めざるをえません。この長い道のりが障壁となる場合があります。

 

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