なぜこんなにも差がついたのか…「米国は好景気、中国は大不況」アフターコロナに差をつけた、中国の大きな過ち

なぜこんなにも差がついたのか…「米国は好景気、中国は大不況」アフターコロナに差をつけた、中国の大きな過ち
(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

「米国は好景気、中国は大不況」アフターコロナに差

香港株式市場では米国市場が休場の上、米金融当局の発言を今週に控えて、新たにリスクを取りにくい局面が続いている。前日も指摘したが、金融市場は米金融当局者が大幅利上げなどタカ派の発言を繰り返すのではないかとの懸念が広がっている。

 

米国経済の先行きの手がかりとなる経済指標の発表は続き、24日にはFRBがインフレの指標として注目しているPCEデフレーターに特に関心が集まっている。FRBの金融引き締め長期化見通しは、強まってきており、マーケットにとっては動きづらい展開となっている。


中国市場でも、3月5日開幕の全国人民代表大会を前に、経済成長路線への回帰策を探る動きが続いている。21日に開催された党中央政治局会議では、新型コロナウイルス禍からの景気回復について抜本的に対策を練り直し、積極的な財政政策と穏健な金融政策を実施することが説明された。

 

ただ、昨年開催された中央経済工作会議の声明でも、消費刺激を優先し、民間企業の支援を強化する方針を示すなど、民間需要と投資を拡大することを最優先に掲げていた。その実現に向けた動きが見えないなか、金融市場の期待は剥落し始めている。

 

先月、発表された中国の2022年通年でのGDP成長率は前年比3.0%増加に留まった。新型コロナウイルス禍中だった2020年を除けば、文化大革命により経済が疲弊した1976年以来、約50年ぶりの低水準である。中国政府が、昨年3月に設定した目標値の「年率5.5%前後」を大幅に下回ったほか、昨年12月まで各地で厳しい行動制限がとられた影響で、消費は大きく落ち込んだままである。

 

アメリカは現在、失業率が歴史的な低水準にある。1月の小売売上高も上昇しており、昨年から大幅な利上げを行うなかでも堅調な経済成長がつづいている。米国と中国はともに新型コロナ渦に大都市「ロックダウン」という苦境を経験しながら、現在の「アフターコロナ」の景気は対照的である。中国は長らく継続したゼロコロナ対策の行動制限により経済活動を抑圧したツケが回ってきた形といえる。

 

全人代に先立つ2月26-28日には、第20期中央委員会が開催される。2023年の経済目標達成をどう設定するか、手がかりとなるか市場は注目している。成長率5%前後を目標とするとの憶測は高まっているが、果たしてどうなるだろうか?

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