「米国好景気」vs「中国大不況」板挟みでじわじわ首を絞められる日本
21日の欧州市場・米国市場では、いずれも、経済指標が予想以上に堅調な経済の足取りを示唆し、金利への上昇圧力が強まった。
21日、 S&Pグローバル社が発表したユーロ圏の総合購買担当者景気指数PMI(2月) は、速報値で52.3だった。1月の50. 3から幅を伴って改善した。事前予想を上回る改善幅で、9ヵ月ぶりの高水準をつけた。
サービスPMIが53.0となり前月の50. 8から大きく上昇したことが総合指数の上昇に寄与した。一方で、製造業PMIは前月の48.8から48. 5へと悪化した。事業見通し指数は1月の61.2から61. 5へと上昇し9ヵ月ぶりの高い水準をつけた。
将来の生産見通し指数も、昨年5月以来の水準に回復しており、先行きの需要に関しては楽観的な見方が強まったことが示された。雇用指数は、5ヵ月ぶりの水準に上昇し、堅調な労働需要が続いていることを示唆した。
米国では、FRBがインフレ指標として注目しているPCEデフレーターに先立って発表された2月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は8ヵ月ぶりに景気拡大と縮小の節目である50を上回った。
S&Pグローバル社が発表した米国の製造業・サービス業合わせた2月の総合購買担当者指数PMI速報値は、50.2だった。1月の46.8から3.4ポイント改善し、経済活動の拡大と縮小の境目である50を8ヵ月ぶりに上回った。
サービス業PMIが50.5と、予想外に改善し昨年6月来となる50台を回復して総合PMIを押上げた。製造業PMIは47.8と、4ヵ月連続で50を下回ったが、1月の46.9からは改善した。
昨年12月は年末商戦の終わりに、消費が翳りを見せるやや心配なデータが示され、年初にリセッション入りするとの観測が一旦強まった。しかし、1月の雇用統計や小売売上高は、足元の米国経済が底堅いことを示唆し、前提が大きく変化した金融市場の金利見通しは変更を余儀なくされている。
金融当局が金融政策でハト派姿勢に転換するとの期待は、非現実的なものになってきた。昨年末から、繰り返しのFRB高官の警告にもかかわらず、年内に利下げ姿勢への転換を期待してきた動きは破れたと言わざるを得ない。
22日に発表される前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨でも、大幅利上げを検討している旨の記録などがあれば、3月5月6月と続くFOMCで、たて続けに利上げが実施されるとの見方が強まっても不思議ではないだろう。
2023年2月22日の円相場は「1ドル=134.90」と今年最低値を更新した。米国のさらなる利上げを実施すれば、円安が進み、ますます日本はインフレが加速する懸念がある。