なぜ融資の審査には何ヵ月もかかるのか
私は今、銀行員時代の知識と経験を活かして経営コンサルタントをしています。自治体や商工会議所などに呼ばれて企業経営者向けの金融・経営セミナーを多く開いていますが、「なぜ融資はあんなに時間がかかるんですか」と聞かれることがあります。
一般の人からは銀行の内側が見えないので、何をそんなに審査することがあるのかと疑問に思われるのも分からなくはありません。確かに新規の会社が融資を受ける場合、最短で2ヵ月、長いと3ヵ月以上かかります。急ぎの融資を受けたいとき何ヵ月も待つのはもどかしいものです。
しかし、銀行はわざとノロノロと手続きを進めているわけではありません。行内で定められた正当なフローを踏んでいくと、どうしてもそれくらいかかってしまうのです。
銀行の窓口で融資を申し込んでから融資の判定を経て実行されるまで、どのような流れで手続きが進んでいくのかをステップを追って解説していきます。
銀行の種類ごとに性質や得意分野は違う
まず銀行(金融機関)とひと口にいっても、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
・信用金庫・信用組合
・都市銀行(いわゆるメガバンク)
・地方銀行
・その他(信託銀行、ネットバンク、外資系銀行など)
日本政策金融公庫(沖縄だけは沖縄振興開発金融公庫)は国の政策のもと、民間金融機関を補完する金融機関です。中小企業・小規模事業者や農林水産業者などの資金調達を担っています。国の金融政策が最も反映されやすいので、新型コロナウイルスの緊急融資では中心的な役割を果たしました。
商工組合中央金庫(商工中金)は各都道府県に拠点をもつ中小企業専門の金融機関です。昭和初期に度重なる恐慌の影響から中小企業を守るためにつくられた経緯があり、今でも中小企業・小規模事業者の味方として頼れる存在です。
一般的な民間銀行が株式会社であるのに対して、信用金庫や信用組合は会員や組合員の出資でつくられた非営利法人です。つまり、民間銀行は株主の利益が優先されますが、信用金庫や信用組合では地域の利益が優先される点が大きく違います。
都市銀行は東京・大阪など大都市に本店を構え、全国規模で銀行業務を行う金融機関です。取引先は大企業・中堅企業が多く、中小企業・小規模事業者にはハードルが高くなりがちです。とはいえ最近は財務内容だけでなく事業性を評価する流れになってきているため、事業性の評価が高くて融資するケースも増えています。
地方銀行(地銀)は地方都市に本店を置き、地域に密着した銀行業務を行います。取引先は地域の中小企業・小規模事業者が中心です。
これらの金融機関のなかから自社に合ったところを選んで融資の相談をします。最初は中小企業に優しいところ、地元企業に優しいところを優先的に選ぶことになります。
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