いつまで待たせるんだ!…「銀行のローン審査」に3ヵ月以上もかかるワケ【元メガバンク支店長が解説】

いつまで待たせるんだ!…「銀行のローン審査」に3ヵ月以上もかかるワケ【元メガバンク支店長が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

急いで融資を受けたいのに審査に時間がかかって、なかなか融資を受けられないという経験はありませんか? 「そんなに審査することがあるのか」と疑問に思うものですが、銀行はわざとゆっくり手続きを進めているわけではありません。メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏が、融資審査における銀行の裏側を詳しく解説します。

民間銀行の融資審査4つのステップ

銀行融資の審査には大きく4つのステップがあります。民間銀行ではメガバンクでも地銀でも融資審査のフローは基本的に変わりません。

 

①窓口での面談

②書類提出と申し込み

③行内での審査

④融資の実行

 

では順番に見ていきます。

 

ステップ1:窓口での面談

新規で銀行と取引を始める場合は最初のステップとして法人口座の開設があります。銀行側はこの会社と取引を始めるかどうかの審査をするのにおおよそ1~2週間を要します。審査が通らなければその銀行とは縁がなかったということです。その場合は銀行はほかにもあるので別の銀行にアプローチします。

 

以前から取引のある銀行で2回目以降の融資を受ける場合は、すでに口座はあり事業内容なども銀行側は把握しているので、担当者と融資に向けた具体的な面談からのスタートになります。

 

初めての融資では面談時に何を聞かれるのか、ちゃんと答えられるか心配だと思います。担当者は主に次の内容について質問しますので、あらかじめ答えることをまとめておくと安心です。

 

・創業や事業の動機

・事業の具体的な内容

・事業計画や資金繰り計画の現実性

・融資が必要な理由と期待できる効果

・事業がうまくいかなかった場合の対策

・自己資金はどのくらい用意できているのか

 

担当者が知りたいのは「何をしている会社なのか」「どんな理念や経営方針で事業を行っているのか」「なんのために融資が必要なのか」です。詳しい事業内容やビジョン、社長の事業に対するこだわりや熱意などは決算書などの書類では分かりません。そういう定性的な部分を知るために担当者は質問をしているのです。

 

どれも基本的な質問で「融資のために答えを準備する」というよりは、「日頃からやっていること、考えていることを分かりやすく伝える」ことが大事です。よそゆきの言葉を並べるよりも本音で話すほうが担当者には伝わりやすくなります。

 

ステップ2:書類提出と申し込み

新規の場合は「決算書一式」を3期分提出します。2回目以降の申し込みは毎年決算書を渡しているはずなので最新のものだけで構いません。

 

決算書というと一般的には貸借対照表、損益計算書を指しますが、融資申し込みの際は「決算書一式」が求められます。法人税の確定申告をする際に作る書類のことで「販売及び一般管理費の明細」や「勘定科目内訳明細書」など附属明細書を含めた一式です。

 

決算書作成を依頼している税理士に「銀行融資に必要な書類一式が欲しい」と言えば出してくれるはずです。

 

決算書以外に必要な書類としては次のものがあります。

 

・借入申込書(会社や経営者の情報、希望する金額、希望する返済期間や方法、資金の使い道など)

・履歴事項全部証明書

・印鑑登録証明書

・事業計画書

・資金使途資料

・月次決算表(月次試算表)

・銀行取引一覧表

・納税証明書

 

銀行や融資内容によっては必要でない書類や融資が決まってから必要になる書類もあるので担当者に尋ね、求めに応じて提出しても構いません。例えば、融資の内容によっては事業性評価シート(決算書では分からない会社の特性を知るための資料)が必要になる場合もあるのです。

 

ちなみに社長が会社の連帯保証人になる際は別途書類が必要です。しかし近年は個人保証や担保を取らない融資をするよう国が指針を示し、その方向に少しずつ変わってきました。

 

個人保証や担保は事業承継をする際に後継者の負担になってしまうので、できるだけ個人保証なし担保なしの融資を受けられるように、書類を磨き上げるなどして努力すべきです。

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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