「倒産する企業」と「生き残る企業」の差
これからの銀行融資は、どんどん事業性重視に進んでいきます。決算書が良くても事業が良くないと融資が受けにくい時代になっていくのです。新しいことにチャレンジできない会社や事業を磨き上げる意欲のない会社は淘汰されていってしまいます。
たとえば町なかで飲食店を経営しているシェフがいて、腕が良ければ経営はやっていけます。
多少愛想が悪くても厨房中心でおいしいご飯を作ることに専念し、フロアは別の接客ができるスタッフに任せれば良いのです。自分の店を切り盛りするだけなら会計処理もそこまで複雑ではありません。
しかし2店舗3店舗目の支店を出していきたいと考えたとき、一つ上のレベルの経営能力が問われます。
スタッフの増員をするには採用面接や人材教育が必要ですし、会計処理もずっと複雑になります。支店の運営を任せるためには支店長の育成やその働きぶりの管理もしなければなりません。シェフとしてのスキルに加えて「マネジメント」のスキルが不可欠になってくるわけです。
事業性というのは事業そのものの魅力もありますが、トップに立つ人間の経営能力も含めてのことなのです。財務のいろはが分かっていること、事業計画書や試算表が管理されていること、経営課題を見つけて解決していけることなどトータルの能力を高めていくことなどを疎かにしないで、常に自分自身をバージョンアップしていけるようにしてほしいと思います。
事業性評価によって融資に成功した社長たち
ではここで、小さい会社ながら事業性を買われて融資に成功した事例を紹介します。
若い二代目が経営する海苔会社のチャレンジ
今から約15年前、私が融資担当課の次長をしていたとき、以前から取引のある海苔業者の担当になりました。
私が前任から引き継いだときは40代の二代目が経営をしており、年商は数億円程度でした。この会社が設備投資をしたいので融資をしてほしいと申し込んできたのです。
その頃、すでに食の欧米化による日本人の和食離れが進んでおり、海苔の国内消費量は縮小の一途をたどり、さらに韓国海苔の人気に押されて需要減少に見舞われている産業でした。
業界そのものが縮小しているなかで、この会社が今後どれだけの収益を出していけるのかが審査の最大のポイントでした。
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