銀行の融資審査…「お金を貸すか、貸さないか」は誰が決めている?元メガバンク支店長が明かす「意外な黒幕」

銀行の融資審査…「お金を貸すか、貸さないか」は誰が決めている?元メガバンク支店長が明かす「意外な黒幕」
(※写真はイメージです/PIXTA)

銀行の融資審査で「お金を貸すか、貸さないか」という判断の権限は誰が握っているのでしょうか。実は、実質的に融資を決めているのは支店長ではなく、他に「キーパーソン」が存在するといいます。本記事では、メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏が、融資審査における「銀行の裏側」を詳しく解説します。

稟議書は書くべき情報量が多く1案件で5~10日かかる

融資の審査はまず融資担当者が「稟議書」を作成するところからスタートします。面談でいろいろと質問をされるのは稟議書を作るための情報を集めているのです。

 

稟議書は事業内容、財務分析、経営者の情報、業界動向など1社につきA4紙にして5~10枚のボリュームになります。今はパソコンで入力するため手書きの時代よりも労力は少なくて済みますが、それでも1案件分を作るのに1週間はかかります。

 

日中、融資担当者は窓口業務や融資会議、外回りの仕事などが入っています。そのため稟議書作成に集中できるのは窓口が閉まった夕方以降となります。しかも1人で10社くらいは案件を抱えているため、効率よく進めてもそれくらいはかかってしまうのです。

 

ちなみに私が融資担当だった頃は定時で帰れたことはほとんどなく、数時間は残業して稟議書をせっせと書くというのが当たり前でした。

決算書以外にも事業性を評価している

稟議書の基となる資料は融資申し込み時に提出された申込書と決算書です。入り口で最も大事なのは決算書であり、融資担当者はこれを細かく分析し、その会社の格付を行います。貸借対照表や損益計算書も当然見ますが、むしろ勘定科目内訳明細書などの附属明細書を念入りに調査します。

 

勘定科目内訳明細書というのは貸借対照表や損益計算書の裏付けとなる資料です。例えば損益計算書にある売上高がどういう内訳でその数字になっているのか、矛盾のない正しい数字なのかを見ることができます。

 

また、会社の預貯金の内訳や棚卸資産(商品や原材料の在庫)の状況、ほかに借入金があるかどうか、取引先にどんな会社があり何をいつ取引しているかなども全部詳らかになるのです。

 

格付で正常先となれば融資は通りやすくなりますが、要注意先よりも下のランクになるにつれて融資の可能性は低くなっていきます。破綻懸念先は、その名称どおり破綻の懸念があり融資しても返済できない可能性が高いということです。

 

銀行では主に決算書の内容を点数化して格付が決まり、その点数で融資の可否判断材料にするスコアリング融資という、スピード審査が売りになっていた時期がありました。

 

しかし今は決算書にプラスして「事業性」を評価する方向に軸足をシフトしています。そのために銀行は事業性評価シートの提出を求めたり、経営者から事業内容を細かく聞き取ったりするのです。

 

この事業性評価にも時間がかかります。財務分析などは数字を入力するとある程度までコンピューターが計算してくれるのでコメントを足せばいいのですが、事業性評価は融資担当者が自分でテキストを作成しなければなりません。

 

会社の強みや弱み、融資をする場合の懸念事項など、上司が読んで分かるようにしておかなければならないので、分かりやすくまとめる力がいりますし、文章力も問われます。

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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