民間銀行の融資審査4つのステップ
ステップ3:行内での審査
融資のステップのなかでいちばん時間のかかるところです。行内でどのように稟議が回っていくかというと、融資額や会社の信用格付によって2パターンあります。
信用格付とは銀行が融資を行うか否か判断する際の基準のことです。財務分析(財政状況や資金繰り、収益力など)から返済能力を判断して正常先、要注意先、破綻懸念先といった区分を行います。区分は銀行によって少しずつ基準が違っており、それぞれ数も違います。
「格付の内容が良い」「支店権限内の融資額」というケースでは「融資担当者→融資担当課長→副支店長→支店長」という順番に稟議書が回っていきます。担当者が作成した稟議書を融資担当課長がチェックしOKなら副支店長に上げ、副支店長のチェックもクリアすれば最終的に融資するか・しないかを決裁する支店長にいく流れです。
それぞれの段階で稟議書が詳しく吟味されるので時間がかかるのです。スムーズにいっても融資担当課長のチェックだけで1~2週間、毎日10件以上の稟議ファイルが融資担当者から来るのでそれくらいはかかります。
もし稟議書に情報の不足や不明点があれば担当者に「差し戻し」となり修正および再提出をしなければなりません。その分、多くの時間がかかってしまいます。
次に「格付の内容が悪い」「支店権限内の融資額を超えている」「担保が不足している」「支店の権限以上に金利を優遇したい」というケースでは支店長の権限では決められません。本店の融資部や審査部に決裁を仰がなければならず、チェックに関わる人も多くなるのでさらに審査に時間がかかります。
稟議の流れとしては「融資担当者→融資担当課長→副支店長→支店長→審査部担当者→審査部上席→審査部長」となります。審査部から支店に稟議書の差し戻しが来る場合もあって、支店決裁のケース以上に稟議を通すのに骨が折れます。
ステップ4:融資の実行
融資の審査期間は銀行ごと・案件ごとに違いますが、おおむね次の日数が目安になります。
・既存事業者が復元資金を借りる場合……数営業日~2週間
・既存事業者が新規の融資を受ける場合……1ヵ月~2ヵ月
融資審査を終えて決裁が出たら、融資がOKでもダメでも担当者から結果の連絡が来ます。融資ができる場合は契約を交わし(先日付でも可)、その契約日に借入金が振り込まれます。
融資が通らなかった場合は、ダメだった理由を担当者に説明してもらうことが大事です。理由が分からないと次の銀行にチャレンジするにしても対策を練ることができないからです。
川居 宗則
中小企業診断士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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