銀行を表す教訓「晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」納得の理由【元メガバンク支店長が解説】

銀行を表す教訓「晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」納得の理由【元メガバンク支店長が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

ドラマ『半沢直樹』でも使われた「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」というセリフ。銀行の非情さに対する経営者の恨みつらみが伝わってくるようですが、銀行側は違う見方をしているようです。メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏が、銀行側の見解を解説するとともに、銀行から融資を引き出すためのポイントを紹介します。

「借りられるだけ借りる」も金融リテラシーが心配

銀行から融資を受けようとするとき、

 

「借りられるだけ借りたい。いくらまでなら貸せますか」

 

と言う人が結構います。金融リテラシーが心配な例です。

 

借りられるだけ借りるということは、収支計画や事業計画をしっかりと立てずに借りようとしている証拠だからです。貸したところで有効に使ってもらえるのか、銀行としてはかなり不安です。

 

銀行は融資した資金が10年以内に返済されることを理想としています。そのため融資窓口の担当者は決算書のある数字に注目して、この会社は何年で返せるかをその場で計算しています。つまり初見である程度は貸せるか、貸せないかの目途がついているのです。

 

ただし、10年返済はあくまで理想であって、20年までなら条件次第で融資が検討できると考えます。20年を超えると要注意と見なされ、融資の可能性はかなり低くなります。

 

返済に20年以上かかることは、資金的体力が弱いということなので途中で返済に困ったり、最悪は倒産や廃業したりする恐れもあります。銀行にとっては会社が倒産して貸したお金が回収できないことが最大のリスクなので、そういう会社には怖くてまず貸すことができません。

 

いくら必要かと聞かれたときに、こういうことが分かっていて現実的な金額と納得のいく使い道を答えることができれば、銀行もこの社長は身の丈を分かっていて事業計画がしっかりしていると思うため、その先の具体的な話に入っていけます。

 

仮に財務状況が多少悪くても、実現可能な事業立て直しのプランが明確にあれば銀行も聞く耳をもってくれます。相手が求めている情報を的確に伝えられるか、事業の強みや将来性を社長が語ることができるかを銀行は見ているのです。

 

それを踏まえて十分な対策を練ってから融資の申し込みに行くことがポイントになるのですが、これができていない社長は残念ながら銀行から良い評価が得られません。

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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