物価高、戦争…「市場のバランスが崩れた」2022年
――2022年は円安が進みました。原因をどう見ていますか?
荒磯「2022年は、一言でいうと『為替市場のバランスが崩れた年だった』ということができます。[図表1]は、ドル円の動きです。
2017年以降、基本的にドル円相場は100円~120円ぐらいで推移していました。ところが、2022年はさまざまなイベントがありました。
株安やアメリカの利上げといった金融市場のイベントだけではありません。新型コロナの影響で停滞していた経済活動が本格的に再開し始め、『モノが足りない×人が足りない=物価が上がる』という流れがありました。
また、ロシア・ウクライナ間で戦争が始まり、『特定の国と貿易するのはやめましょう』などと、グローバル経済の動き方が大きく変わったことにより、これまでの経済や貿易のバランスが崩れました。円安の値幅やスピードはその結果だとみています」
――為替の変動要因はさまざまあると思いますが、特にどの要因が大きかったとお考えですか?
荒磯「[図表3]をご覧ください。
2022年の変動要因は『内外金利差』にありました。アメリカで利上げが進んだことで、誰もが『内外金利差』に着目しました。
一方、今年は『実体経済』が重要になるのではないかと予想しています。多くの国がまだ利上げをしており、景気やインフレが鈍っていく。このため、どこまでの金利上昇を受け入れるかは、今後国によって差が出てくることが予想されます。したがって、それぞれの国の『実体経済』の強さが注目されるだろうと予想しています」
――金利が高い国の通貨が強くなるイメージがありましたが、そのようなシンプルな話ではないということですね。