(※写真はイメージです/PIXTA)

2023年3月。米国のシリコンバレー銀行が経営破綻したという第1報が飛び込んでからわずか1週間ほどで、今度はスイスのクレディ・スイス銀行をUBSが救済するというニュースが飛び込んできました。銀行セクターでの相次ぐ破綻に、リーマン・ショックを思い出した方も多いはず。はたして金融危機の再来となるのか、世界有数の資産運用会社、アライアンス・バーンスタイン(以下AB)のシニア・インベストメント・ストラテジスト、荒磯亘氏が解説します。

3月に相次いだ欧米銀行の破綻…いったいなぜ?

――相次ぐ銀行破綻に驚愕しています。なぜ、こうした事態が起きてしまったのですか?

 

荒磯「根本を探っていくと、どうやら急速に利上げを進めてしまったのではないか、そこに行き着くように感じます。銀行はお金を預かり、そのお金を運用するわけですが、そこで損が出たというところから不安が広がりました」

 

――なにか、リスクの高い運用をしていたということでしょうか?

 

荒磯「そういうことではないようです。[図表1]をご覧ください。米国が利上げを始めた2022年3月以降の株式や債券の騰落率をみると、軒並み下落していることがわかります。安全資産といわれる米国国債ですらマイナス・リターンとなり、“資金の逃げ場がなかった”というのが本当のところでしょう」

 

過去の分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。 期間:2022年3月末~2023年2月末 出所:ブルームバーグ、AB
[図表1]米国利上げ以降の株式・債券の騰落率 過去の分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
期間:2022年3月末~2023年2月末
出所:ブルームバーグ、AB

 

――クレディ・スイス銀行への飛び火も同じ理由からなのでしょうか。

 

荒磯「これには複合的な背景があると思っています。というのも、クレディ・スイス銀行は数年前から投資の損失が膨らみ、また内部文書が流出するといったガバナンス上の問題も指摘されてきました。ですから、金融市場がちょっと不安定になってきたときに『次はここが危ないのではないか』という不安が増幅したのだと思います」

 

――AT1債券(金融機関の破綻を防ぐために強制的に元本が削減される特性を持つ債券)が無価値化してしまうなど、当局の対処に余裕がなかった印象があります。

 

荒磯「スイスの金融当局も、1週間前に米国の西海岸で起きたことが、よもや自分たちの足元に飛び火するとは思っていなかったのではないでしょうか。ただ、この状況を見過ごし対応を誤ると金融危機が広がると判断し、一部の債券を犠牲にしてでも急ぎ救済策をまとめる必要があったのではないかとみています」

 

――異例の決断が下されたということですね。

 

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【ご注意】
※本稿は、「【AB’s Market Tips】#6 欧米の銀行破綻、果たして金融危機なのか?」を参考に再編集したものです。詳細については当該動画をご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタインポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2023年4月14日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。
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