ロシア・ウクライナ問題に加えてイスラエル・パレスチナ問題が再び顕在化し地政学リスクが高まるなか、金融市場への影響が懸念されます。こうしたなか、世界の投資マネーは「米国」に集まっていると、アライアンス・バーンスタイン株式会社シニア・インベストメント・ストラテジストの穂谷栄一郎氏はいいます。いったいなぜこのような動きが生まれるのでしょうか、みていきます。
地政学リスク高まるなか、市場への影響は「少ない」?
――イスラエル・パレスチナ問題は歴史的な経緯もあり、沈静化まで長引きそうな様相です。地政学リスクの高まりにより、金融市場、特に株式市場は大幅に下落するのでしょうか。
穂谷「いいえ。結論を申し上げれば、地政学リスクが金融市場を崩壊させた歴史はありません。米国のS&P500株価指数と経済政策不確実指数の推移を比べたチャートをご覧ください[図表1]」
穂谷「たしかに地政学リスクを示す経済政策不確実指数が高まるタイミングでは、一時的に株価指数がやや下落していますが、影響は軽微です。
株式市場が大きく下落、ないし長く低迷するときは、むしろ、ITバブル崩壊や世界金融危機、新型コロナウイルス、金利急上昇といった経済的な要因が強く影響しています」
――今回のイスラエル・パレスチナ問題も、金融市場に与える悪影響は少ないといえるのでしょうか?
穂谷「グローバルな規模でマクロ経済に与える影響は少ないものの、ミクロで見ればところどころに影響がみられます。たとえば、イスラエルや中東諸国に生産設備を有する個別企業は、生産活動の停止や撤退といった影響が生じそうです。サプライチェーンや生産供給網について投資先企業の精査が必要です」
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カメハメハ倶楽部とは?
運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト
2019年9月に入社。内外のマクロ経済及び金融市場の分析や運用戦略に関するストラテジストを務める。
以前は2016年よりフィデリティ投信の金融市場調査室にてグローバル投資環境の見通し等を担当。また、2011年から2016年まではブラックロック・ジャパンにおいて運用リサーチ及び商品企画・開発などに従事。1997年から2011年までは、みずほ証券で、投資情報部や米国現地法人にて勤務。長年にわたり、経済・市場ウォッチャーとして日本経済新聞などに加え、テレビ東京「モーニングサテライト」や日経CNBCなどの経済情報番組など、多数のメディアにおいて情報発信を行っている。2014年に国際大学大学院国際経営学研究科修了(MBA取得)。
在籍:東京(アライアンス・バーンスタイン株式会社)
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=10041
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