(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年はロシアのウクライナ侵攻や記録的なインフレ、各国の利上げなど波乱の年となりました。なかでも非常に変動が大きかった為替相場は、投資家の大きな関心事だったのではないでしょうか。今回は、円相場の現況と今後の展望について、世界有数の資産運用会社、アライアンス・バーンスタイン(以下AB)のシニア・インベストメント・ストラテジスト、荒磯亘氏が解説します。

円高か円安か…「2つ」の判断材料

――アメリカは今年「リセッション」といわれていますが、アメリカ側が弱いということは今後は円高方向ということでしょうか?

 

荒磯「年末には日銀の緩和修正もあり、円高になりました。ただ、アメリカはどちらかというともう利上げの幅を縮め、着地に向かおうと考えています。グローバルに見れば、日銀がどんどん緩和修正を続けられる環境かというと疑問符がつきます。

 

過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。 期間:2000年1月~2022年12月 出所:ブルームバーグ、AB
[図表5]日本と米国の政策金利(%) 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
期間:2000年1月~2022年12月
出所:ブルームバーグ、AB

 

[図表5]は、日米の金利差です。図中黄色が日本、青色がアメリカです。いま、アメリカが先に利上げをしていますが、日本もキャッチアップするかどうかというような形になっています。

 

ただこの金利差の絶対水準がかなり開いています。これは、歴史的に見てもかなり差がついた状態です。今後アメリカの景気がよほど悪くなり、図中上に向かっている青線が下に降りてこない限り、この金利差は開いたままです。したがって、円の金利が多少上昇しても、円高圧力につながるかどうかは断言できません」

 

荒磯「もう1つ判断材料があります。[図表6]を見てください。

 

過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。 期間:1996年1月~2022年10月 出所:ブルームバーグ、AB
[図表6]日本の貿易・サービス収支の推移 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
期間:1996年1月~2022年10月
出所:ブルームバーグ、AB

 

『日本の貿易・サービス収支』ということで、図中青色が収支、つまり『対外フロー』です。青色が0よりも下がっていれば『赤字』、上であれば『黒字』ということになります。

 

右端に着目すると、かつてないほど『赤字』になっていることがわかります。2022年の後半は、毎月2兆円レベルで日本の貿易・サービス業は赤字でした。『毎月2兆円、円を売ってる人がいる』というような環境になっています。これは円安圧力です。

 

過去、『なにかあったときに円は買われやすい・強い円だ』というようなことが言われました。その時は貿易・サービス収支は黒字が続いて、常に円を買いたい人がいたということです。しかし、いまはそうではなくなっています」

 

――国際収支の悪化も構造的な円安要因に加わったということですね。

 

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【ご注意】
※本稿は、「【AB’s Market Tips】#4 円相場のゆくえ。円安・円高、どっち?」を参考に再編集したものです。詳細については当該動画をご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタインポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2023年1月24日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。
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