激しかった為替変動は「落ち着いた」
――昨年のドル円相場は値動きが大きく、115円で始まって最大で150円を超え、年末にかけ戻しましたが値幅が35円ありました。この為替変動は「落ち着いた」とみていますか?
荒磯「いったん落ち着いたとみています。[前掲図表2]をみると、昨年円安に触れたこと自体も目立ちますが、『150円』という2000年からの長期間でもまれにしかない価格水準であったことがわかります。
つまり、ほとんどの相場参加者にとって『未体験ゾーン』の円安でした。したがって、相場としてはかなり達成感が出たのではないでしょうか。
もう少し細かくみていきましょう。
[図表4]は、2022年の為替相場値動きを前半と後半に分けたもので、主要通貨に対して『対円騰落率』を出したものです。
これが『プラス(図中の右側)に出ている』ということは、円よりもその通貨が上昇した(=円安だった)というふうに読み、反対に、マイナス(図中の左側)に出ている場合はその通貨よりも円のほうが強かった(=円高だった)というふうに読みます。
これをみると、昨年前半はかなり大きく円が下落したということがわかります。米ドル・カナダドル・スイスフラン・豪ドル・ユーロ・ポンド……すべてが円よりも上昇している、つまり円が『独歩安』だったということが明確です。
一方で後半をみると、状況は変わっています。スイスフランのように円より強い通貨もあるものの、むしろ豪ドルやカナダドルは円よりも調整しました。したがって、昨年は『ドル高円安』というイメージがありますが、昨年の後半というのはどちらかというと『米ドルが上昇した(粘った)』だけの相場になっていました。
ですから、『いま落ち着いているかどうか』を考える際には『アメリカ側の要因』を見る必要があると考えています」
――急ピッチの利上げを受けて、景気減速の兆しがあるということですね。