2024年のグローバル経済は「低成長」の見込み
――2024年のグローバル経済をどのように見ていますか?
穂谷「世界的に低成長になる年だと考えています。グローバルでのGDP成長率予想をみると、2023年が2.4%であるのに対し、2024年は2.1%に減速する見込みです[図表1]。とりわけ米国は大幅に低下する見通しです。
主要国の中央銀行はこれまで、高いインフレを抑えるために利上げを続けてきたわけですが、その影響が顕在化し、景気は減速する方向に進んでいるようです」
――いまだ利上げに至っていない日本のように、国や地域によって事情は異なりそうですね。
穂谷「そうですね。たしかにテーマとなる問題は各国で異なります。たとえば、日本は実質所得の減少を解消できるかが消費の動向を左右します。欧州は景気が低迷するなかでの緊縮財政がテーマです。
一方、デフレに陥る中国は、不動産セクターや地方政府の救済に時間を要しそうで、金融緩和といった景気下支えが予想されます。米国は消費が減速しつつも資産効果の残存などで堅調さもみられます。ただ、債務上限問題の再浮上といった財政不安も抱えているといった具合です」
国別ではなく、グローバルにまたがる成長分野に着目を
――世界経済が低成長であるなかで、着目すべき投資テーマはありますか?
穂谷「国別ではなく、グローバルにまたがる成長分野に着目すべきでしょう。たとえば、AI(人工知能)や自動運転、IoT、宇宙、次世代ヘルスケアといった新しいテーマは、たとえ国や既存の産業が低迷していても、投資が活発化し、関連企業のビジネス機会は堅調に推移するとみています。
成長分野は他にも多々あり、フィンテックやデジタル・トランスフォーマーション、次世代インフラ、最先端半導体などが期待を集めています[図表2、左]。
こうした成長分野はグローバル規模で成長するため、国をはるかに上回る成長率が予測されています。たとえば、ロボティクスに関連する市場は、2025年までに年率26%で成長を遂げる模様です[図表2、右]。