(※写真はイメージです/PIXTA)

企業は、トップ、経営者の意思決定とリーダーシップが重要です。その判断がぶれたり、よこしまになったりすれば、存続が危うくなります。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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海外でも企業理念の浸透が必要に

■海外でも意外に通用する日本人・日本企業の価値観

 

企業が繁栄を続けていくために企業理念が重要であることがお分かり頂けたと思いますが、次はその浸透努力についてです。

 

いまや日本企業も海外進出は当たり前で、経済のグローバル化が進み、もともと国内市場中心だった企業でも、国内が縮小気味なので、海外のいたるところで事業を行うようになっています。ビジョナリーカンパニーの研究成果がその通りだとすると、海外の人たちにもこの基本的価値観である企業理念の浸透が必要になってきています。

 

海外も含め企業理念の浸透活動に熱心な企業の例を紹介します。

 

例えば、世界第2の建設機械メーカーであるコマツは、コマツウェイとして、①マネジメント編、②モノ作り編、③ブランドマネジメント編からなるものを制定し、コマツウェイ総合研修センターで外国人幹部を招いて研修を行っているそうです。例えば、将来中国事業のトップを任せたいという人材に、このコマツウェイ総合研修センターで教育を受けさせるなどしているわけです。

 

米国企業であるJohnson & Johnsonは、クレド(我が信条)として、第1の責任:対顧客、第2の責任:対社員、第3の責任:対地域社会、第4の責任:対株主と4つの責任を明文化し、世界に広がるグループ各社延べ13万人以上社員の一人ひとりに浸透させる活動を行っています。

 

欧米の企業が企業理念やウェイを広めようとすることは、キリスト教の布教と同様に当たり前に思える一方で、日本企業が欧米の人たちをはじめとした海外の人たちに自社の理念やウェイを広めることに少し戸惑いを感じる人たちもいるかもしれません。明治維新以来、欧米の考え方・技術導入を熱心に行ってきた我々としては、彼らに何かを教えるということが憚られるように感じるかもしれません。

 

しかし実際に彼らと接して、我々日本企業や日本人の考え方を正々堂々と話をしてみると、意外に素直に聞いてくれます。本田宗一郎が米国に工場進出する際に、「アメリカ人に、手を油で汚しながらやるモノ作りのやり方を教えてやってこい」というようなことを言って現地派遣された社員を激励したそうですが、現地でホンダに雇われた人たちは、嬉々としてそれを受け入れたわけです。

 

当時、そういう話をニュースで知った私は、本田さんの度胸に感心したものです。

 

むしろ、こちら側にそうした語るべきものがない方が、逆に彼らから軽蔑されるわけです。幸い、日本の自動車メーカーは、燃費が良くて、品質が良い車を作っていたので、その作り方の源となっていたジャストインタイムの考え方やQCサークル活動とった日本的モノ作り思想が、米国や英国の人たちにも受け入れられたわけです。

 

そして、結果として日本で作るのと同等の品質の製品が現地でも作ることができたので、現地の人たちからリスペクトされました。黙って、不思議な笑みを湛えているだけではいけないのです。

 

井口 嘉則
オフィス井口 代表

 

 

※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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