(※写真はイメージです/PIXTA)

現在、世間では「褒める」ことが重要視される風潮にありますが、当然誤った行いを働いた部下に対しては「叱る」ことも重要です。ただ、その「叱り方」によって部下の成長を促せるか、反対に潰してしまうかが変わってきます。そこで、大学野球日本代表も経験した異色の経営コンサルタントである中田仁之氏が、部下を叱るうえで大切な3つのポイントを解説します。

叱るだけではなく「その後の成果を認める」ことが大事

「誤った行為を叱る」とは、今目の前で起こった事象が良くない場合に、そのことだけを叱るということです。

 

「だいたい君は」とか「前から君は」のように、その人の人格を否定したり、時間軸をごちゃ混ぜにしてあわせ技で叱るといった叱り方はその本人を傷つけるだけでまったく効果がありません。また、そのような叱り方を周りの別の部下はちゃんと見ていますから、リーダーは尊敬されることもなく、下手をすると孤立してしまうかもしれません。

 

今、この瞬間のタイミングで叱り、どうすればいいのかの方法を示すことがこれまで書いたポイントでした。この項では3つ目のポイントについて書きます。

 

3.その後の成果を認める

前項で書いた「誤字脱字の多い報告書」について、「出力して自分で読み、誰かに読んでもらってから出すように」という方法を教えたのですが、その後どうなったのかというと、なかなかそれでも直りませんでした。

 

その間、「提出日の前日に書いて、翌日もう一度読み直す方法」や「先に手書きしてから入力する方法」などいくつかのアドバイスを与え、ついに上出来な報告書が提出されました。その時に私は彼を呼び、内容と共に誤字脱字のないレベルの高い報告書だと褒め、握手をし、こう伝えました。

 

「よし! これで完璧なので、今の方法を続けてください」とOKサインを出し継続を促しました。

 

もしこれが、相手が子供の場合だともっと大げさに「スゴイ!やっとできたね!」と言って抱きしめてあげたり頭を撫でてあげると更に効果的です。

 

大人でも子供でも、できたことに対して「驚いてくれる」と、次はもっと驚いてもらいたい!という欲求が生まれ、それが本人のモチベーションにつながります。さらにその時に大切なことが「スキンシップ」だと言われています。私はその時握手をしたり、背中をポンと叩いたりして驚きを表現しています。

 

今までできなかったことが、叱られて方法を教わってできるようになる。これは叱られた本人にとっての小さな成功体験に生まれ変わり、さらに叱ったリーダーにとって、相手を今よりも良くするという覚悟に筋が通ります。

 

その時初めて「ありがとうございました」という感謝の気持ちが部下にもリーダーにも芽生え、お互いの信頼関係がまた1つ強くなると私は信じています。

 

叱るタイミングは「今、この瞬間」、短い言葉で事実を叱り、過去の話を持ち出さない。

 

そして、どうすればいいのかの方法をできるまで繰り返し教え、できるようになった時、きちんと成果を認めスキンシップをする。

 

この3つのポイントを忘れずに、部下と接していくと、あなたに褒めてもらいたい、あなたを驚かせたい、あなたのためにもっと頑張りたい、という部下が増えていくことでしょう。

 

[図表1]部下を成長させる叱り方3つのポイント

 

 

中田 仁之

株式会社S.K.Y.代表取締役

中小企業診断士

 

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※本連載は中田仁之氏の著書『困った部下が最強の戦力に化ける すごい共感マネジメント』(ユサブル)より一部を抜粋し、再構成したものです。

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

中田 仁之

株式会社ユサブル

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