叱る時のNGワードは「普通は」「常識では」
たとえば部下やパートナーなど相手の相談事を聞いている中で、あなたが先に「答え」に気づいてしまう場面ってありませんか? その時に最もしてはいけないことは、相手が話し終わる前にあなたが思っている答えを伝えることです。その答えが100%正しいとしても、最後まで変わらぬ姿勢で聞くことが大切です。
顧問先であるX社のTという40代の課長の話です。T課長は新卒でX社に入社しておりかなりのベテランですので、部下の相談事についても途中でだいたい見当がついてしまいます。
ある時、部下がちょっとしたミスをしてしまい、その報告にT課長のところへやってきました。部下がミスをお詫びして原因を話し始めた時、T課長は「だいたい分かった。で対策は?」「いや、普通はこうでしょ?」「常識では…」と話を最後まで聞くこともせず質問を投げかけ、さらに「普通は」「常識では」という正論を振りかざしてしまったのです。
ミスをした部下は、最初反省した表情で黙って聞いていましたが、段々と険しい表情になり、最後にはそっぽを向いて席を立ったそうです。
部下は「ミスは原因もはっきりしていて難しいものではなかったのですが、お客様がひどくお怒りで、そのお詫びに一緒に行ってほしかったのでT課長に相談したのですが、途中で話をかぶせられたので、もういいや1人で行こうって思いました」と後日話してくれました。
この時のT課長は、まず最後まで一通り部下の話を聞いてあげるだけで、部下の相談事に対処できたはずなのです。
このことから、相手は「正論・正解」が知りたくて相談しているわけではない可能性が高い、ということを私は学びました。本当に言いたいことは、別のことである場合が往々にしてあるのです。
また、特に上司から振りかざされる「正論」は時に人を傷つける場合があります。誰にとっても正しい一般論であるがゆえに、自分に対する真摯な個別の意見ではないと感じてしまい、自分の力になってもらえないと感じることもあるのです。
叱る時のNGワードは「普通は」「常識では」「一般的には」です。もしあなたの言い分が正しいとしても、この枕詞をつけると叱られる側に壁ができてしまいます。
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