(※写真はイメージです/PIXTA)

企業をはじめ、組織において立場が上になればなるほど増えてくるのが「部下の相談」です。その内容が自身の過去の経験と近いものだったり、一般的なものだったりすると聞いている途中で「答え」に気づき、つい「正解」を述べてしまいたくなるもの。しかし、経営コンサルタントの中田仁之氏は「100%正しいとしても、部下を正論で叱ってはいけない」といいます。それはなぜか、みていきましょう。

叱る時のNGワードは「普通は」「常識では」

たとえば部下やパートナーなど相手の相談事を聞いている中で、あなたが先に「答え」に気づいてしまう場面ってありませんか? その時に最もしてはいけないことは、相手が話し終わる前にあなたが思っている答えを伝えることです。その答えが100%正しいとしても、最後まで変わらぬ姿勢で聞くことが大切です。

 

顧問先であるX社のTという40代の課長の話です。T課長は新卒でX社に入社しておりかなりのベテランですので、部下の相談事についても途中でだいたい見当がついてしまいます。

 

ある時、部下がちょっとしたミスをしてしまい、その報告にT課長のところへやってきました。部下がミスをお詫びして原因を話し始めた時、T課長は「だいたい分かった。で対策は?」「いや、普通はこうでしょ?」「常識では…」と話を最後まで聞くこともせず質問を投げかけ、さらに「普通は」「常識では」という正論を振りかざしてしまったのです。

 

ミスをした部下は、最初反省した表情で黙って聞いていましたが、段々と険しい表情になり、最後にはそっぽを向いて席を立ったそうです。

 

部下は「ミスは原因もはっきりしていて難しいものではなかったのですが、お客様がひどくお怒りで、そのお詫びに一緒に行ってほしかったのでT課長に相談したのですが、途中で話をかぶせられたので、もういいや1人で行こうって思いました」と後日話してくれました。

 

この時のT課長は、まず最後まで一通り部下の話を聞いてあげるだけで、部下の相談事に対処できたはずなのです。

 

このことから、相手は「正論・正解」が知りたくて相談しているわけではない可能性が高い、ということを私は学びました。本当に言いたいことは、別のことである場合が往々にしてあるのです。

 

また、特に上司から振りかざされる「正論」は時に人を傷つける場合があります。誰にとっても正しい一般論であるがゆえに、自分に対する真摯な個別の意見ではないと感じてしまい、自分の力になってもらえないと感じることもあるのです。

 

叱る時のNGワードは「普通は」「常識では」「一般的には」です。もしあなたの言い分が正しいとしても、この枕詞をつけると叱られる側に壁ができてしまいます。

 

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※本連載は中田仁之氏の著書『困った部下が最強の戦力に化ける すごい共感マネジメント』(ユサブル)より一部を抜粋し、再構成したものです。

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

中田 仁之

株式会社ユサブル

困った部下(=指示待ち族、指示に従わない、手を抜く)にお困りのリーダーは経営者や管理職を問わず非常に多いようです。 ある「5つのメソッド」を念頭に、リーダーとしての「姿勢」をもう一度見直してみてみることで、あ…

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