「お願いだから消えてくれ」…部下を自殺へ追いやった上司に、裁判所が下した判決【弁護士が解説】

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(写真はイメージです/PIXTA)

パワハラは労災として認定される場合がありますが、その基準はどのようなものなのでしょうか。また、パワハラについて労災申請された場合、会社側はどのような対応を取るべきなのでしょうか。パワハラが労災認定される基準と、会社側の適切な対応について、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士がくわしく解説します。

パワハラが労災申請された…会社側が取るべき対応は

パワハラが原因で労災申請がされた場合、企業はどのような対応を取るべきなのでしょうか?

 

主な対応方法は、次のとおりです。

 

1.早期に弁護士へ相談する

社内で発生したパワハラによる傷病などについて労災申請がされた場合には、労働問題にくわしい弁護士へできるだけ早期に相談することをおすすめします。

 

労災申請された場合には、少なくとも従業員が精神疾患を発症している可能性が高く、非常に深刻な事態であるためです。

 

初動を誤ってしまうと、より大きな問題へと発展してしまう可能性があるでしょう。

 

2.事実関係の調査を行う

パワハラについて労災申請がなされた場合には、会社として事実関係を正しく把握することが重要です。

 

弁護士とともに関係者へヒアリングをするなどして、事実関係の調査を急ぎましょう。

 

3.申請内容が事実なら事業主証明を行う

労働者が労災給付を申請するために必要となる労災保険給付請求書には、事業主の証明欄が設けられており、事業主が、負傷または発病の時刻、年月日、災害の原因等について給付請求書の記載どおりであることを証明します。

 

これを「事業主証明」といいます。

 

事業主は、保険給付を受けるべき労働者から事業主証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければなりません。

 

しかし、この証明は必ずしなければならないものではなく、事実関係に異論がない場合を除いては、事業主証明を拒否することも検討する必要があるでしょう。

 

労働者の精神疾患発症が労災であることに対して会社として疑義がある場合には、安易に証明をするべきではありません。

 

事業主証明をする前に、弁護士へ相談することをおすすめします。

 

なお、労働者が事業主証明を得られない場合であっても、労災請求は可能であるため、事業主が事業主証明を拒否したからといって、労災認定がされないというわけではありません。

 

4.申請内容に疑義があれば意見申出制度を利用する

意見申出制度とは、労働者からの労災申請に対して、会社として意見を述べる制度です。

 

先ほど解説した事業主証明を拒否する場合には、すみやかに意見の申出を行うようにしましょう。

 

申出をした意見については、その後訴訟などへ発展した際の証拠として用いられる可能性があります。

 

そのため、意見の申出については、弁護士に書面を作成してもらうとよいでしょう。

 

まとめ

社内でパワハラが発生すると、被害者である従業員から労災申請される場合があります。

 

実際に、パワハラが原因で労災認定がされたケースは少なくありません。

 

パワハラを原因として従業員から労災申請がなされた場合、会社としては慎重な対応が求められますので、早期に弁護士へ相談しましょう。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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